「『SKYACTIV(スカイアクティブ)』は、生産工程での膨大なデータの活用無しには実現できなかった」――。マツダの常務執行役員グローバル生産・グローバル物流担当技術本部長の菖蒲田清孝氏は2014年7月2日、都内で開催中の「IT Japan 2014」で講演し、同社の生産・開発方式の改革について講演を行った(写真1)。「IT Japan 2014」は日経BP社が2014年7月2日から4日にかけて東京・品川プリンスホテルで開催中のイベント。

写真1●講演するマツダの菖蒲田清孝常務執行役員グローバル生産・グローバル物流担当技術本部長(写真:井上裕康)
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 菖蒲田氏はまず、2010年から2020年までに、環境への配慮から電気自動車やハイブリッドなどの電気デバイス技術の採用が同社で増加する予想を示した。その上で電気デバイス技術の採用が増えても、エンジンのベースである内燃機関の重要性は変わらないと断言。さらに、現在の自動車の内燃機関の効率はまだ30%であり、残りの70%に改良の余地があると指摘。内燃機関の改良には、基盤技術の進化が必要であるとし、その上で従来の開発・生産手法を抜本的に見直す「モノ造り革新」の必要性を強調した。

 一般に、商品競争力を高めようとすると多様性が必要になる。その一方で、大量生産の効率を求めると共通化する部分が増えていく。マツダはモノ造り革新によって「多品種の開発による商品競争力と、大量生産による生産効率の両方を向上する」(菖蒲田氏)という理想を掲げている。

 具体的な取り組みとして「一括企画」「コモンアーキテクチャー」「フレキシブル生産」などを挙げた。一括企画は、5年先から10年先の将来を見通して商品を企画すること。コモンアーキテクチャーは、例えば排気量の異なるエンジンをそれぞれ異なる構造にするのではなく、両者の大部分を共通の構造にして生産効率やコスト抑制を狙う、などだ。フレキシブル生産は、生産プロセスの標準化による効率化を示している。

 こうしたモノ造り革新によって開発したのがスカイアクティブ技術だ。同技術はエンジンだけでなく、ボディー、トランスミッション、シャシーの全てに関わっている。