日本IBM グローバル・ビジネス・サービス パートナー ストラテジー & アナリティクス 日本リーダーの池田和明氏(写真:井上裕康)
日本IBM グローバル・ビジネス・サービス パートナー ストラテジー & アナリティクス 日本リーダーの池田和明氏(写真:井上裕康)
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 「ビッグデータの主戦場は4つ。どの順番で戦うかの戦略は、ほとんどの企業にとって大きなテーマだ」。日本IBM グローバル・ビジネス・サービス パートナー ストラテジー&アナリティクス 日本リーダーの池田和明氏は、日経BP社が主催するITイベント「IT Japan 2014」の2014年7月2日に行われた講演において、ビッグデータ活用に向けたビジネス戦略を語った(写真)。

 池田氏が挙げる4つの主戦場とは、デバイス/インフラ(接続地点)、データ資源(権益)、プラットフォーム(要衝)、そしてユーザー体験(価値)である。この4つは互いに密接に関連している。

 「デバイス/インフラ」は、スマートフォンやセンサーなどのデバイス/インフラを販売、配布することを示す。これらの機器は、現実空間とデジタル空間の接点として、大量のデータを生成する。「データ資源」は、生成した利用者のデータを独占的に収集し、あたかも鉱山資源のように採掘、精製し、有用な情報を取り出すことを示す。

 「プラットフォーム」は価値あるデータについて、他の企業にも利用を許し、互いに利益を得ること。「ユーザー体験」は利用者にとって価値のあるユーザー体験を提供することを示している。

 ビッグデータビジネスにおいて、日本の伝統的な製造業に最もありがちなのは、元々ある製品にセンサーを付けて販売する、つまりデバイス/インフラを1番目の主戦場にする戦略だという。デバイス/インフラを販売した後は、2番目の主戦場として、センサーからデータを収集し、品質管理や故障予測などに生かす(データ資源)。3番目に、利用履歴などのデータを他の小売店に提供し、販促や広告に活用してもらう(プラットフォーム)。

 だが池田氏によれば、データを生成するデバイスの拡散を最初の主戦場とする、いわゆるデータセントリック戦略の多くは実証実験レベルで終わり、うまくプラットフォームを形成できないことが多いという。