米Facebookが実施した感情伝染の実験に非難の声が集まっていることについて、同社のSheryl Sandberg最高執行責任者(COO)は現地時間2014年7月2日、インドのテレビ局「NDTV」のインタビューに応じ、「実験についての伝え方が不十分だった」と述べた。

 Facebookは2012年1月に、投稿内容がユーザーに与える心理的影響を調べる実験を実施した。68万9003人のユーザーを対象に、ニュースフィードに掲載される友達などからの投稿を調整。ポジティブな印象を与える投稿の表示を減らすと、ユーザー自身のアップデートにネガティブな内容が増え、その逆も同様の影響があることを確認した。実験結果をまとめた論文が米国科学アカデミー紀要(PNAS)で公開されたことで、同社がユーザーの了解を得ずに実施した同実験が6月末に明らかになり、以来、同社に非難が殺到している(関連記事:Facebookの感情伝染実験に非難の声、研究者が謝罪)。

 NDTVをはじめ複数の海外メディア(米Wall Street Journal英Financial Times米USA TODAYなど)の報道によると、中小企業や起業家らと会うためにインドを訪問中だったSandberg COOはインタビューで、「実験について説明の仕方がたいへんまずかった。Facebookがユーザーのプライバシーを真剣に考えていることを分かってほしい」と説明し、「伝え方が悪かったことを謝罪する。決してユーザーを混乱させるつもりはなかった」と述べた。

 一部の国々のプライバシー擁護団体などは、Facebookがニュースフィードを改ざんしてユーザーの感情を制御しようとしたと主張しているが、これについては「当社はユーザーの感情をコントロールできないし、そうするつもりもない」と強く否定した。

 また同氏は、実験が「小規模で1週間程度のもの」であり、個人を特定できる情報はいっさい使っていないことを強調した。

 当実験が大きな物議を引き起こして以降、Facebook幹部がコメントを出すのはこれが初めてだが、Sandberg COOが謝罪しているのは、ユーザーを混乱させたことに対してであり、言い換えれば、実験を行ったことについては謝罪していないと、米Forbesは指摘している。

 なお、Sandberg COOのインタビューの前日には、同実験を巡って英当局がFacebookをデータ保護法違反の疑いで調査中と報じられた。