写真●Automotive Linux Summit 2014の基調講演に登壇した英Jaguar Land RoverのMatt Jones氏
写真●Automotive Linux Summit 2014の基調講演に登壇した英Jaguar Land RoverのMatt Jones氏
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 Linuxの普及推進に取り組む非営利組織The Linux Foundationは2014年6月30日、車載システム向けオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」が、同プロジェクトで開発したソフトウエアの初版を公開したと発表した。7月1日~2日に東京で開催中の「Automotive Linux Summit 2014」では、基調講演に英Jaguar Land RoverのSenior Technical Specialist、Matt Jones氏が登壇、AGLの特徴や開発の状況を語った(写真)。

 AGLは、自動車メーカーや部品サプライヤーなどが参加して、オープンソースソフトウエア(OSS)として車載情報システム向けのアプリケーション群を開発するプロジェクト。日本からも、トヨタ自動車や日産自動車、デンソー、パナソニック、富士通など多数の企業が参加している。

 開発するアプリケーションは、車載情報システム向けのOSSプラットフォーム「Tizen IVI(In Vehicle Infotainment)」上で稼働し、必要な追加機能を提供する。HTML5とJavaScriptで開発されている。ドライバーへの情報提供のためのダッシュボード、Google Mapsによるナビゲーション、Bluetoothで接続する電話機能、SNS(Social Networking System)との連携機能、音声認識や顔認識機能などさまざまなコンポーネントを開発している。Jones氏はAGLプロジェクトのミッションを「顧客のニーズに応えるソフトウエアとハードウエアのリファレンスを提供すること」と説明した。

 自動車メーカーや部品サプライヤーは、共通基盤であるAGLを利用することで、車載情報システムの開発期間を大幅に短縮できる。Jones氏は「顧客が求める要件をAGLのコミュニティーで合意し、開発を一気に進める。自動車メーカーや部品サプライヤーは、Tizen IVIとAGLのプラットフォームを利用して、各社が独自のシステムを開発することが可能だ」とそのメリットを強調した。「AGLへの1ドルの投資で、数十ドルの価値が生まれる。その収益を再びAGLに投資する。このサイクルによって車載情報システムの開発が加速し、顧客をハッピーにすることができる」(同)。

 AGLで開発した各コンポーネントには、詳細設計要件書(Design Requirements Document)や使用事例、HMI(Human Machine Interface)フロー、画像、アーキテクチャー図などが含まれる。すべてのプログラムやドキュメントは、AGL wikiから入手できる。