米Gartnerが、現地時間2014年6月30日に公表したIT支出額の推計によると、2014年の世界支出額は前年から2.1%増の3兆6730億ドルになる見通し。同社は4月に公表したリポートで、2014年の支出額が同3.2%増になると予測していたが、今回これを下方修正した。「デバイス」「データセンターシステム」と、一部の「ITサービス」分野で、マイナスの影響が見られるという。

 2014年の支出額推計の内訳は、パソコンや薄型軽量ノートパソコン、携帯電話、タブレット端末などの「デバイス」が6850億ドル、「データセンターシステム」が1400億ドル、「法人向けソフトウエア」が3210億ドル、「ITサービス」が9670億ドル、「通信サービス」が1兆6350億ドル。

 このうち、デバイスが前年比1.2%増となり、事前予測値を下回る見通し。これは携帯電話とタブレット端末の分野で、価格下落が予想されるからだという。タブレットは米国世帯の半数に普及しており、今後高価格端末の売れ行きが鈍くなる。新たにタブレットを導入する層は、より安価な端末を求めるようになる、と予測している。

 データセンターシステムへの支出額は、前年比0.4%増とほぼ横ばいにとどまる、とGartnerは見ている。またITサービスへの支出額は同3.8%増。同分野は2013年に世界各地で低迷したことからゼロ成長だったが、今年は緩やかな回復が見込めるという。ただしITアウトソーシングの伸びは、減速する見込み。大手ベンダー各社が価格を大幅に引き下げており、クラウドストレージサービス市場に影響を及ぼしているという。

 一方で法人向けソフトウエアは、前年比6.9%増と最も伸び率が高いとGartnerは見ている。アプリケーションソフトウエアの伸びは鈍いが、インフラソフトウエアの伸びがそれを補うという。インフラソフトウエアの中では、データベース管理システム(DBMS)が大きく伸びると予測している。

 IT支出全体の4割以上を占める通信サービスは、前年比0.7%増にとどまる見通し。音声サービスの利用が減っており、ユーザー1人当たりの収入(ARPU)は2018年まで毎年10%減っていくと予測している。

 Gartnerのマネジングバイスプレジデント、Richard Gordon氏によると、通信事業者間の競争が激化しているため、価格競争を引き起こしている。「利益率の低い市場を狙う仮想移動体通信事業者(MVNO)がARPUに及ぼす影響は、前回予測時よりも大きくなっている」(同氏)という。

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