情報処理学会は6月30日、「認定情報技術者(CITP:Certified IT Professional)」と呼ぶITエンジニア向けの新しいプロフェッショナル認定制度を開始すると発表した。大手ITベンダー6社が主導しており、情報処理技術者試験など従来の認定制度を補完する制度として位置付けている。

 CITP制度が手本としたのは、ソフトウエア技術者認定制度の国際標準「ISO/IEC 24773」だ。ITエンジニアは申請書を提出すると同時に、面接を実施して認定を受ける。申請書の記載項目は「知識」「業務経験」「プロフェッショナル活動」の3分野としている。

 具体的に「知識」を証明するのは、情報処理技術者試験の合格証書のコピー。「業務経験」を証明するのは直近5年間の業務経歴書のほか、ITSS(ITスキル標準)のレベル4(数人から十人程度のチームのリーダークラス)の達成度指標とスキル熟達度のチェックシートの結果となる。今回運用を開始するのはITSSのレベル4相当で、レベル5~7については今後追加する予定としている。

 「プロフェッショナル活動」は、研修の受講実績、著作・論文執筆、講演・講師実績、特許出願、学会・コミュニティー活動など、ISO/ISC 24773で規定されるCPD(技術研磨)に関する事項となる。

「個人認証」と「企業認定」がある

 CITP制度を普及させるために、情報処理学会は「個人認証」と「企業認定」の2種類の制度を設ける(個人の場合は認定でなく認証と呼ぶ)。

 このうち今回スタートするのは、ITエンジニア個人が情報処理学会に申請書を送付して認定を受ける個人認証だ。審査料は2万円、合格時の登録料が1万円。申請期間は2014年12月上旬~中旬、面接は2015年3月上旬を予定している。

 一方の企業認定の制度開始は2015年度と先だが、2014年度から試験運用を開始した。企業認定は、情報処理学会から委託された企業が、社内のITエンジニアに対して直接CITPの認定を行う。

 注目したいのは、CITP制度の策定・推進に当たっているのが、NEC、NTT、東芝、日立製作所、富士通、三菱電機という大手ベンダー6社という点だ。この6社がグループ会社を含めてCITP制度を導入する計画を立てており、業界内に普及する可能性がある。