中国Lenovo Group(聯想集団)による米IBMのx86サーバー事業買収案件について、米国で審査手続きに遅れが生じていると米Wall Street Journalが現地時間2014年6月26日に報じた。IBMのx86サーバーが、国防総省のコンピュータネットワークを支える国内通信ネットワークやデータセンターに使われているため、国家安全保障上の問題が懸念されているという。

 同紙によると、外国企業による投資や国内資本の買収案件を審査する米外国投資委員会(CFIUS)と治安当局者は、中国のスパイやハッカーによってサーバーにアクセスされたり、メンテナンスを通じてセキュリティ侵害を受けたりすることを心配している。また政府関係者は、Lenovoに売却されたサーバー資産の一部が、ほかのサーバー群と連携し、より強力なマシンとして振る舞うおそれもあると神経をとがらせているという。

 こうした懸念を払拭するため、IBMとLenovoは5月に承認申請書類を再提出した。両社が主に取り組んでいるのは、CFIUSが抱いている運用保守に関する懸念。

 両社は、Lenovoへの事業売却後もIBMがLenovoに代わって運用保守業務を行うと約束している。だが、保守サービス契約が終了した場合は業務がLenovoに引き継がれる。結果として中国工作員にウイルスを送り込まれるなど、サーバーが脆弱になるとCFIUSは懸念している。

 これに対し両社は、2005年にIBMのパソコン事業をLenovoに売却したときと同様、IBMが長期にわたり保守サービスを続けると説明している。同紙によると、IBMはパソコン事業売却後の5年間保守サービスを継続し、その後数度サービス契約を更新したという経緯がある。

 IBMとLenovoは今年1月、LenovoがIBMのx86サーバー事業を23億ドルで買収することで合意したと発表した(関連記事:米IBMがx86サーバー事業を23億ドルで中国レノボに売却、約7500人がレノボに移籍)。Wall Street JournalによるとLenovoの広報担当者は、2014年の年末までに買収手続きが完了する見込みだと話している。