オービックビジネスコンサルタント(OBC)は2014年6月26日、青色申告/白色申告用の会計ソフト「奉行J パーソナル ベータ版」をWindowsストアアプリとして提供開始した。表示するメニュー項目を減らして分かりやすくした個人事業主向けのモードと、全機能が使える税理士向けのモードを備える。機能は正式版と同等。ユーザーに品質や操作性を評価してもらい、正式版を出す。正式版も白色申告用は無償で提供する。青色申告用も2014年内は無償で提供する。青色申告用の正式版のライセンス料金は、年額1万円台前半になる見込み。

 奉行J パーソナル ベータ版はWindowsストアアプリ版の会計ソフト。「Windowsストアアプリでこうした会計管理ソフトは初めて」(OBC)という。データはマイクロソフトのAzure上にOBCが用意したストレージ領域に保存する。ソフトを利用するデバイスを切り替えても、同一のデータを扱える。個人事業主であるユーザーが入力した内容は、税理士側でも参照できる。データはAzure上で3重の冗長化をし、さらに外部でも3重の冗長化して保護しているという。

 Windows 8やWindows RTでの全画面表示によるタッチ操作で使いやすくするために、既存の奉行シリーズの画面イメージを踏襲しつつユーザーインタフェースを最適化した。一般的な仕訳伝票入力のほか、簿記の知識がなくても入力しやすいようにした「かんたん取引入力」機能や、領収書を撮影した画像ファイルを取り込んで閲覧しながら入力できる「領収書入力」を実装した。銀行の入出金データやクレジットカードの明細をCSVファイル経由で取り込む機能も備える。

 ユーザーインタフェースは、個人事業主による入力に特化したモードと、全ての機能を利用できる税理士向けのモードがある。税理士が顧客である個人事業主に本ソフトの利用を推奨することを想定しており、税理士モードには顧客管理の機能がある。個人事業主による伝票の入力状況や税理士自身の顧客ごとの業務の進捗状況などを一覧できるほか、個人事業主のスキルに合わせてメニューをカスタマイズして管理する機能を備えた。個人事業主から税理士への申告業務の依頼や、税理士から個人事業主への納税額の通知などもソフト上で済ませられるようにした。

 特徴の一つである「かんたん取引入力」では、「売上」「仕入」「経費」「その他」を選んだ後、例えば経費なら「営業活動」「交通費」「物品購入」などとメニューが表示され、さらに「どんなものをどうやって支払ったか」の一覧が出る(図1)。ユーザーは、それらを選択して金額を入力するだけで本来の形式の帳簿を作成できる。従来の帳簿形式での入力も可能だ(図2)。

図1●「かんたん取引入力」の画面例
図1●「かんたん取引入力」の画面例
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図2●「現金出納帳入力」の画面例
図2●「現金出納帳入力」の画面例
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 「領収書入力」は、帳簿の入力を容易にするもう一つの機能(図3)。スマートフォンなどで撮影した領収書の画像を、本ソフト用に用意されたクラウド上のストレージ領域にアップロードする。ソフトに領収書画像が表示されるので、項目や金額を見ながら入力する。紙をデジタル化して一元管理できる。

図3●「領収書入力」の画面例
図3●「領収書入力」の画面例
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