国連の経済社会局(UNDESA)は2014年6月25日、電子政府の世界ランキングを発表した。同ランキングは2年ごとに発表されており、日本は前回2012年の18位から一気に順位を上げて6位に入った()。1位は2010年調査から3期連続で韓国。2位のオーストラリア、3位のシンガポールは、前回調査から大きく順位を上げてトップ3入りした。

 同ランキングは国連加盟193カ国を対象とした「国連電子政府調査」に基づくもの。オンラインサービス、通信インフラ、人的資源の3分野の個別指標から「電子政府発展度指標」(EGDI:e-government development index)を算出してランキングしている(得点範囲は0.0~1.0)。

 EGDIが0.75超の「優(very high)」グループは、全体の13%・25カ国。日本はここに含まれ、全て世界銀行の2012年分類で「高所得国」である。6割強の16カ国を欧州が占め、アジアは5カ国、北中南米とオセアニアが2カ国ずつだった。優グループのEGDIの平均値は「0.8368」で、全体の平均値「0.4712」を大きく上回っている。

 アフリカは最上位のチュニジアでも75位にとどまる。通信インフラ、人的資源、オンラインサービス提供へ継続的に投資するための経済力との相関が浮かび上がった。EGDIが0.5~0.75の「高(high)」グループは32%・62カ国、同0.25~0.5の「中(middle)」グループは38%・74カ国、同0.25未満の「低(low)」グループが17%・32カ国だった。

 日本は世界で6位、アジアでは3位。報告書は、国家IT戦略である「世界最先端IT国家創造宣言」でのオンライン申請によるペーパーレス化の目標設定などに言及し評価している。EGDIの基となる3分野の評価要素は、オンラインサービスが0.9449(前回0.8627)、通信インフラが0.8553(同0.6460)、人的資源が0.8621(同0.8969)で、通信インフラの評価の改善が全体のスコアを大きく押し上げた。通信インフラのスコア上昇は、評価要素の一つとして今回から固定インターネット利用率に代えて無線ブロードバンド利用率を採用したことが効いたようだ。

 遠藤紘一内閣情報通信政策監(政府CIO)が電子政府推進の必要性を訴える際に言及したり、政府CIO制度の設計過程で低迷が問題として指摘されたりするなど、国連電子政府ランキングはここ数年、政府関係者の間で電子政府推進の“影のKPI(業績評価指標)”のように扱われてきた。政府CIOの設置や世界最先端IT国家創造宣言に基づく各種IT関連施策は、主にオンラインサービスのスコア向上につながっており、政府の一連の取り組みが報われたと言ってよさそうだ。

表●国連電子政府ランキングの上位20カ国の変遷
2014年の国名の横はスコア(EGDI:e-government development index)と対12年の順位変動
順位2010年2012年2014年
1韓国韓国韓国[0.9462]---
2米国オランダオーストラリア[0.9103]↑10
3カナダ英国シンガポール[0.9076]↑7
4英国デンマークフランス[0.8938]↑2
5オランダ米国オランダ[0.8897]↓3
6ノルウェーフランス日本[0.8874]↑12
7デンマークスウェーデン米国[0.8748]↓2
8オーストラリアノルウェー英国[0.8695]↓5
9スペインフィンランドニュージーランド[0.8694]↑4
10フランスシンガポールフィンランド[0.8449]↓1
11シンガポールカナダカナダ[0.8418]---
12スウェーデンオーストラリアスペイン[0.8410]↑11
13バーレーンニュージーランドノルウェー[0.8357]↓5
14ニュージーランドリヒテンシュタインスウェーデン[0.8225]↓7
15ドイツスイスエストニア[0.8180]↑5
16ベルギーイスラエルデンマーク[0.8162]↓12
17日本ドイツイスラエル[0.8162]↓1
18スイス日本バーレーン[0.8089]↑18
19フィンランドルクセンブルグアイスランド[0.7970]↑3
20エストニアエストニアオーストリア[0.7912]↑1

「国連電子政府ランキング」の発表資料(英文)