写真●デンソーITソリューションズ 代表取締役社長の今井 孝雄氏
写真●デンソーITソリューションズ 代表取締役社長の今井 孝雄氏
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 「プライベートクラウド化で、情報システムはアジャイルになる」――。デンソーITソリューションズ 代表取締役社長の今井 孝雄氏(写真)が、2014年6月25日に「Cloud Days 名古屋 2014/ビッグデータEXPO 名古屋 2014/スマートフォン&タブレット2014 in 名古屋/Security2014 in 名古屋」のKEYNOTE講演に登壇。「OSSとクラウドの徹底活用による先進的なIT基盤変革へのチャレンジ」と題して、デンソーグループ向けの次世代IT基盤の刷新とプライベートクラウド化について詳しく紹介した。

自動車メーカー、部品メーカーは大競争時代に

 デンソーグループは、拠点数218社、従業員数14万人、売上高は4兆円にも上る(2014年3月現在)、大手自動車部品メーカーである。情報システムに関しては、「企画を本社・情報企画部が、開発/運用をデンソーITソリューションズが担っている」(今井氏)。

 今井氏によると、現在、自動車メーカーと部品メーカーを取り巻く環境は、大きく変化しているという。

 まず、地球環境の変化と世界経済の変化という2つの潮流がある。前者については、「CO2削減や省エネのために、ガソリンからHV、EVにシフトしており、エンジン部品がなくなりつつある」(今井氏)。後者に関しては、「市場が新興国にシフトした結果、自動車に対するニーズが極めて多様化している」(同)。

 さらに、流通構造の変化と経営構造の変化という2つの構造変化がある、と今井氏は指摘する。「1カ所で作っていろんな国に売る“1対N型”から、欧州で設計して中国で生産するというように、世界の最適地で設計・生産する“N対N型”へ、流通構造が変化している。また、経営に関しては、単独経営からグローバルな連結経営へ変わりつつある。これを実現するためには、グローバルな経営の見える化、事業の見える化が必要。そのためには、情報システムも、部分最適ではなく全体最適を図らなければならない」(今井氏)。

 こうした環境の変化により、「自動車メーカー、部品メーカーは世界的な大競争時代に突入している。生き残るためには、最新ITを駆使して、ビジネスのスピードと質を変えなければならない」と、今井氏は強調する。そのために、デンソーグループでは、次世代ICT基盤への刷新に踏み切った。