日本オラクルは2014年6月25日、TPモニター(トランザクション処理ソフト)の「Oracle Tuxedo 12c」と、関連製品でIBMメインフレームのアプリケーションをオープン環境に移行するソフト「Oracle Tuxedo ART 12c」の二製品について機能を強化したと発表した。TPモニターのTuxedoは、主に性能を高めた。移行ソフトのTuxedo ARTは、移行を従来よりも容易にした。

 一つめのTuxedoは、オンライントランザクション処理を確実に終了できるようにするミドルウエアである。2フェーズコミットのように、データベースサーバーとデータベースクライアントとの間のデータ更新要求/コミット処理を仲介する。昨今では、米IBMの「MQ Series」との相互運用やJava連携、Webサービス連携など、他のミドルウエアとの連携機能に注力している。

 Tuxedoの機能強化ではまず、ドメイン間通信の遅延を減らして処理性能を高めた。TuxedoやWebLogic(APサーバー)を組み込んだアプライアンスであるOracle Exalogicにおいては、アプリケーションの処理速度が最大で4倍に向上したという。また、WebLogicとRAC(Real Application Clusters)の間の分散トランザクションを最適化し、データ転送速度を最大で2倍に高めたという。

 Tuxedoのオプションで、Webサービスを介してTuxedoを利用できるようにするソフトについても、今回新バージョンの「Oracle SALT 12.1.3」を用意した。SALTは、TuxedoのサービスをWebサービスでラップする(包む)ソフトであり、Tuxedoサービスの定義情報を格納したリポジトリーからWSDL(Webサービス記述言語)を生成する。今回の強化ではWebサービスの種類を増やした。従来のSOAPに加えて、新たにREST API経由でTuxedoを利用できるようにした。

メインフレームのCICS/JCLを移行するソフトは実行環境を強化

 もう一つのTuxedo ARTは、IBMメインフレームで動作しているレガシーアプリケーションをオープン環境に移行するためのミドルウエアである。CICSアプリケーションとJCLバッチジョブを主な対象に、これらをTuxedoを動作させたLinux/UNIX環境で実行できるようにする。このためのソフトとして、ランタイム環境「Application Runtime for CICS and Batch」と、移行ツール「Application Rehosting Workbentch」を用意している。

 Tuxedo ARTの機能強化では、特にランタイム環境を強化した。COBOL言語で書かれたCICSアプリケーションだけでなく、C言語で書かれたCICSアプリケーションを実行できるようにした。さらに、JCLで書かれたバッチジョブをJCL言語のまま実行できるようにした。従来は、移行ツールを使ってJCLをシェルスクリプトに変換する必要があった。

 価格(税別)は、Tuxedo 12cが1プロセッサ当たり652万1700円、Tuxedo ART 12cが1プロセッサ当たり97万8300円。