写真●日本IBM ソフトウェア事業本部 Cloud & Smarter Infrastructure 事業部長 林健一郎氏
写真●日本IBM ソフトウェア事業本部 Cloud & Smarter Infrastructure 事業部長 林健一郎氏
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 日本IBMは2014年6月25日、モバイル管理ソリューション「IBM MaaS360」を同日より提供開始すると発表した。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)版とオンプレミス版の2種類の形態で提供する。

 MaaS360は、IBMが2013年11月に買収した米ファイバーリンク・コミュニケーションズがSaaSで提供していた製品で、「これまで単体で提供されていたモバイルデバイス管理機能やモバイルアプリ管理機能、モバイルコンテンツ管理機能がまとめて提供できるエンタープライズモバイル管理(EMM)ソリューションだ」と、日本IBM ソフトウェア事業本部 Cloud & Smarter Infrastructure 事業部長の林健一郎氏(写真)は説明する。林氏によると、MaaS360は過去10年にわたって5000社が利用、管理対象となった端末の台数は数百万台以上という実績があり、「OSの更新や新端末にも数日以内に対応するという迅速さ、また使いやすさなどもあり、契約更新率が97%にもなっている」という。

 オンプレミス版の提供は今回が初めてとなる。SaaS版ではなく自社で運用したい、またSaaSとしてユーザーにサービスを提供したいというSaaSプロバイダーなどの要望を受け、オンプレミス版を用意した。

 今回MaaS360で提供するのは、モバイルデバイス管理を包括的に行うための「Advanced Mobile Device Management」、企業データを保護するモバイルコンテナとなる「Secure Productivity Suite」、VPN不要でイントラネットにアクセスできる「Mobile Enterprise Gateway」、安全にドキュメントが共有できる「Secure Document Sharing」となる。

 Advanced Mobile Device Managementでは、デバイスの登録や構成、セキュリティポリシーの管理などが可能。ユーザーが自ら端末を管理できるセルフポータルも用意されており、パスワードの変更や紛失時の端末ロック、位置情報確認もセルフポータルにてできるようになっている。

 Secure Productivity Suiteでは、主にBYOD(私物デバイスの業務利用)でユーザー所有のデバイスから安全にメールやWebにアクセスできる環境を提供する。ビジネス領域で利用している情報をプライベート領域にコピーすることを禁止するなど、エリアを分けてデバイスが利用できる。

 Mobile Enterprise Gatewayは、VPN接続することなく企業内のシステムとの連携を可能にする。LDAPやActive Directoryなどと連携してユーザー情報をMaaS360に取り込むため、社内のユーザーIDがそのまま利用でき、デバイスに保存されたデータは暗号化されるという。

 Secure Document Sharingは、社内ドキュメントを安全にローカルのモバイルデバイスにダウンロードして編集できる環境を提供する。オフラインでの作業が可能となるほか、オンライン時のデータ同期も可能だ。データ漏洩防止機能で情報を保護するという。

 ファイバーリンク・コミュニケーションズ買収後、IBMも自らMaaS360を導入したという。初日に1万5000台を登録し、1カ月で移行したユーザー数は7万人以上、移行で削減したITコストは50万ドルになると同社は試算している。

 MaaS360の提供価格は、SaaS版では管理デバイス1台の月額料金が100円から、オンプレミス版では管理デバイス1台の年間ライセンスが1000円からとなる(価格はすべて税別)。ニーズの高いAdvanced Mobile Device ManagementとSecure Productivity Suiteなどを組み合わせた典型的なケースで「月額500円程度になるだろう」(林氏)としている。