自民党IT戦略特命委員会の資金決済小委員会は2014年6月19日、ビットコインを含む仮想通貨へ法規制を見送る中間報告をまとめた(資金決済小委員会委員長の福田峰之衆議院議員のブログ)。
 
 仮想通貨は「ビジネスにおける新たなイノベーションを起こす大きな要素となりうる」(中間報告)として、現段階では出資法や銀行法、資金決済法といった既存の法規制は適用しない。ユーザーの自己責任の原則のもと、業界団体に自主ルールを策定させることで、関連ビジネスの健全な発展をうながす。

 中間報告では、ビットコインなどの仮想通貨を、法律上の通貨でもモノでもない「価値記録」と位置づける。

 価値記録の採掘、交換、交換所への価値記録や金銭の預託については、出資法や銀行法の適用外とする。例えば、交換所などがビットコイン取引のため一時的に現金を預かる行為については、預り金とはみなさず、銀行業などの免許は不要とした。

 価値記録取引の自主ルールを策定するため、業界団体の設立を促す。その業界団体に対し、経済産業省、金融庁、消費者庁、警察庁、国税庁などが適宜相談、助言を行う。

 マネーロンダリングを規制する犯罪収益移転防止法は、現時点では適用せず、今後の議論に委ねる。その代わりとして、業界団体が定めるガイドラインなどを通じて犯罪防止の枠組みを作る。具体的には、交換所を開設する際は業界団体に届出をすること、ユーザーが口座を開設する際には身分証などでの本人確認を行うこと、犯罪捜査など法令に基づく情報開示に迅速に協力することを義務付ける。
 
 価値記録は消費税の課税対象とする。例えばビットコインの場合はこうだ。「ビットコインを購入する」「ビットコインで商品を購入する」「ビットコインで他の仮想通貨を購入する」といったいずれのケースについても、消費税を課税する。二重課税を防ぐため仕入税額控除を適用できるようにするが、具体的な制度設計については触れていない。

 ビットコインの値上がりに伴う売却益(キャピタルゲイン)にも課税するが、当面は交換所にモニタリングのためのシステム投資は求めない。

 この中間報告は総じて、価値記録の特徴を生かした新たなビジネスの創造を期待する内容となっている。具体的には、24時間365日稼働の安価な決済システム、価値記録の先物取引やファンドなどの創出、電子契約システムへの応用、価値記録に刺激を受けた既存の金融システムの変革などの効果が期待できるとしている。