写真 勉強会でFirefox OSのバージョンアップについて解説するMozilla Japanの浅井智也氏
写真 勉強会でFirefox OSのバージョンアップについて解説するMozilla Japanの浅井智也氏
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 Mozilla Japanは2014年6月17日、Firefox OSを搭載した開発者向けリファレンス端末「Flame」について、国内での価格と発売時期を明らかにした。7月中に、びぎねっとからYahoo!ショッピング経由で、価格1万8500円(税別、一部地域を除き送料無料)で発売する予定。TELECやJATEによる認証を受けて、国内で安心して使える形で発売する。Mozilla Japanは、ブログでFlameの発売だけ予告していた。

 Firefox OSはMozillaによるモバイル端末用OSで、全てがWebの技術でできているという造りが特徴。「だいたいWebで出来るようになってきているので、Webのエンジンだけを進化させ、全てWebで完結するOSに書き換えれば、よりWebのパフォーマンスが上がり、シンプルで良いアーキテクチャーになるのではないか」(モバイル&エコシステム マネージャ テクニカルマーケティングの浅井 智也氏)という発想である。メーカーが新しいOSへの対応に苦労せずに済むように、同じハードウエアのレイヤーを使って、その上にブラウザーだけ載せる設計にしたという。

 FlameはT2Mobile製の端末。4.5インチ、FWVGA(854×480ピクセル)のスクリーンを持ち、プロセッサーはQualcomm MSM8210 Snapdragon 1.2GHz デュアルコア。メモリーは8GBで、RAMは256MB~1GBで開発者が調整可能。ROMは8GBである。前面2MPおよび背面5MPのカメラとGPS、NFC、Bluetooth、無線LAN(802.11b/g/n)を搭載する。

 通信面では、GSM 850/900/1800/1900MHzとUMTS 850/900/1900/2100MHzをサポートする。UMTSのBand1(2100MHz)が含まれているので、NTTドコモとソフトバンクモバイルのネットワークにつながる見込み。SIMロックフリーで、標準SIMが使える。SIMカードを2枚挿せるデュアルSIMに対応しているが、2つ備えているSIMスロットがそれぞれGSM用とUMTS用なので、GSMが使えない日本ではUMTSのスロットだけ使う形になりそうだ。バッテリー容量は1800mAh。

 国内で発売されるFlameは、Firefox OS 1.3または1.4を搭載して出荷される。英語版が届くが、UIを日本語化しiWnn IMEの試用版が同梱した日本語環境版のビルド(書き換え用ROMイメージと考えればよい)をダウンロードして書き換えることで、日本語に対応させられる。

 この端末には、Firefox OSのアップデート方法が3通りある。その1つは「商用リリース(ステーブル)」で、3カ月に1回アップデート版をOTAで配信する。2つめは「ナイトリー」と呼ぶ方法。原則として1日1回最新のビルドを作って配信するが、新しい部分がうまく動作しない可能性もある。3つめは「Foxtrot」。更新版だがテストもしているというビルドで、1カ月に1回程度配信する。なおアップデートに関しては、どのバージョンも配信するケースも、ある程度スキップしながら配信するケースもあるという。

 また、同日開催したメディア向け勉強会では、Firefox OS 2.0の主な新機能も解説した(写真)。2.0ではUIの刷新などFirefox OSらしいユーザー体験を実現。Firefoxアカウントに対応させ、WebRTCによるビデオチャット機能を加える。Firefox OS 2.1以降になると、使いやすさ、高速化と消費電力の改善などを進める。また、音声操作やテレビ出力、BLEなどの対応が入ってくるという。

 勉強会では、海外で開発されようとしている特徴的な端末の例として、Mozillaとドイツテレコムの取り組みを紹介した。欧州ではプライバシーが重視されているため、アプリをインストールした時に権限をOKするだけではなく、ユーザーが明らかに判断可能でプライバシーに係る重要な事項に関しては、実際にアプリがアクセスしようとした瞬間にユーザーの許可を求めるようになっている。また位置情報を送らないと使えないアプリについては、位置情報の精度を落として送るとかランダムに特定の国の中や全世界から送るといった方法を検討し、開発が進められているという。プライバシー系の機能をコントロールできる画面を用意したり、Find My Fox(現在はFind My Deviceと読んでいる)という基本的なリモートからの紛失対策ができる機能を一緒に作ってもらったりしているという。また「Guest Mode」を作っている。「“この動画を見て”といった形でちょっと端末を貸したところ、気付いたらメールを見られていたといった事態が起こらないようにする。ボタンを押すと、起動できるアプリやアクセスできるデータなどを制限したGuest Modeに切り替えて渡せる」(浅井氏)。このような形で、国/キャリア/メーカーごとに、ユーザーに必要だと思う機能についてのアイデアを持ち寄って実装しやすいのも、Firefox OSの特徴だという。