写真●基調講演に登壇した米PTCのジム・ヘプルマン社長兼CEO
写真●基調講演に登壇した米PTCのジム・ヘプルマン社長兼CEO
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 「IoT(モノのインターネット)が製品のバリューチェーンを大きく変える」。2014年6月16日(米国時間)、製造業向けソフトを手掛ける米PTCがボストンで開催中の「PTC Live Global 2014」において、ジム・ヘプルマン社長兼CEO(最高経営責任者)はこう力を込めた(写真)。

 まずへプルマンCEOは、ネットにつながる機器の数が2020年に500億台に達するという外部の調査結果を紹介した。これは1人当たり約6台のネットにつながった機器を所有することを意味する。さらに米マッキンゼー・アンド・カンパニーのIoTに関する調査に触れ、「IoTの経済効果は3Dプリンターの10倍に達する」と語った。

 こうした状況を踏まえ、PTCは米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授と、ネットにつながった製品群を指す「スマート・コネクティッド・プロダクツ」が与える影響について共同研究を進めていることを明かした。

 PTCは2013年、1億ドル超を投じて、IoT向けアプリケーションの開発・実行環境を提供する米ThingWorxを買収した。ヘプルマンCEOはThingWorxの買収で、企業の設計・開発から生産、販売、サービスというバリューチェーン全体を支援できるようになったという考えを示した。

 例えば、PTCのCAD(コンピュータによる設計)やSLM(サービスライフサイクル管理)といった既存の製品群とThingWorxを組み合わせることで、センサーから収集した製品の稼働データを必要に応じて設計・開発に反映できるようになるという。へプルマンCEOはこうした姿を「クローズドループ・ライフサイクル管理」と呼び、「企業は今までにないようなバリュー(価値)を顧客に提供できるようになる」と強調した。