国立国会図書館は2014年6月16日、同館のネットワークシステムの運用管理業務の委託先である日立製作所の社員が、システムの管理者権限を悪用して国会図書館の内部情報を不正に取得し、日立の入札活動に利用しようとした行為について、日立社員2人を「刑法第96条の6第1項(公契約関係競売等妨害罪)」に該当するとして警視庁に刑事告発したと発表した(関連記事)。

 国会図書館では刑事告発とあわせて、日立製作所と関連する子会社に対して入札等への指名停止措置を行う。指名停止期間は、日立製作所が6カ月間、同社の子会社である日立キャピタル、日立ソリューションズ、日立システムズ、日立情報通信エンジニアリング、日立産業制御ソリューションズが3カ月である。国会図書館のネットワークシステムの運用管理業務は日立キャピタルが受注し、日立製作所に再委託していた。日立キャピタル以外の子会社は国会図書館の案件に関与していないが「指名停止措置の実効性を高めるため」(国会図書館広報)に、指名停止となった。

 日立社員による国会図書館の内部情報の不正入手と入札妨害は2014年3月に発覚し、国会図書館はその事実を2014年5月15日に発表している。国会図書館のネットワークシステムの運用管理を担当していた日立社員(システムエンジニアで肩書きは技師)は、システムの管理者権限を悪用して国会図書館の入札に関する情報などを不正に取得し、上司である主任技師、国会図書館を担当する日立の営業担当者、営業担当者の上司や同僚に当たる営業部長代理や営業主任と共有していた。

 不正に取得した情報を使って、国会図書館のシステム開発に関する入札に参加したこともあったほか、日立社員が不正に取得した情報の中には、国会図書館の次期ネットワークシステム(開札日2014年4月4日)に関する、他社提案書や参考見積もりが含まれていた。日立はこの件への応札は辞退している。