写真●MidoNetの概要(出典:伊藤忠テクノソリューションズ)
写真●MidoNetの概要(出典:伊藤忠テクノソリューションズ)
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 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2014年6月11日、ノード側にネットワーク情報を持たせた分散型アーキテクチャーを特徴とするオーバーレイ型のネットワーク仮想化ソフト「MidoNet」(写真)を発売した。これを使えば、ノードだけで仮想的なL2/L3ネットワーク(L4スイッチなどを含む)を構成できる。

 MidoNetは、物理ネットワークの上に論理的な仮想ネットワークを構築できるようにしたオーバーレイ型のネットワーク仮想化ソフトである。オーバーレイ機能はサーバーエッジ側で提供する。各サーバーノードにMidoNetのソフトをインストールすることによって、ルーティングやパケットの選別などの機能を、外部のルーター/スイッチを使うことなくサーバーノードだけで実現する。

 開発会社はミドクラジャパンで、CTCは国内で初めての販売代理店。MidoNetのライセンス価格は、MidoNetのソフトウエアを導入するサーバーノード1台当たり、1年間のサブスクリプション費用が約20万円。販売目標は今後3年間で10億円。CTCでは別途、MidoNetの構築サービスも請け負う。

自律分散型で動作、ノードの追加でスケール

 MidoNetの特徴は、ネットワーク制御に必要な機能を、各サーバーノード側に分散共有させたこと。ノードにインストールしたエージェントが、ネットワークの制御ルールを設定、制御、管理する。集中管理型のコントローラーから制御情報を配信するOpenFlowのようなアーキテクチャーではなく、個々のサーバーノードが自律的に仮想ネットワークを構成する。ネットワーク制御に必要な情報は、分散データベースのCassandraとZookeeperに格納する。

 動作環境はLinuxで、MidoNetのエージェントはサーバー仮想化ソフト(KVM、Xen、LVC:Linux Containers)の上で動作する。データ転送に必要な仮想スイッチにはLinuxのOpen vSwitchカーネルモジュールを使う。エージェントが必要に応じて分散データベースからネットワーク制御情報を取得し、制御ルールをOpen vSwitchに反映させるという動作になる。

 クラウド運用ソフト(OpenStack)用のプラグインも提供する。これにより、仮想サーバーや仮想ストレージの設定変更に連動してネットワーク設定を変更できるようになる。