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 米Amazon.comは現地時間2014年6月12日、同社の有料会員になれば音楽が聴き放題になるストリーミング配信サービス「Prime Music」を米国で始めたと発表した。

 米国で年会費99ドルで提供しているプログラム「Amazon Prime」に向けたサービスで、会員は追加料金なし利用できる。広告は流さない。Amazon.comによると提供する楽曲は数万枚のアルバムを含む、100万曲以上。Prime MusicのWebサイトのほか、Amazon.comのタブレット端末「Kindle Fire HD」「同HDX」、またはAndroidやiOS向け最新アプリ「Amazon Music」で利用できる。

 楽曲はストリーミングのほか、ダウンロードすることも可能で、インターネット接続がない場所でも楽しめるとしている。利用者は好みの楽曲を選んで自分のライブラリーに追加できる。このほか、専門家が選んだという数百のプレイリストを用意しており、ジャンルやアーティスト、その時の気分、状況、行動に合わせて好みの音楽を聴けるとしている。

 米Wall Street Journalによると、Amazon.comはPrime MusicをAmazon Prime限定の特典としており、これを単独サービスとして提供する予定はないという。

 Amazon Primeは、都度の送料がかからず、商品が2日以内に届く急ぎ便サービスを無制限に利用できるプログラム。米国ではこのほか、約4万本の映画・テレビ番組を無料で視聴できるストリーミングビデオサービス「Prime Instant Video」、KindleやKindle Fireを持つAmazon Prime会員が約50万冊の電子書籍の中から1カ月に1冊を無料でレンタルできる「Kindle Owners' Lending Library」が付く。

 これらの特典にPrime Musicを追加することで、同社は4月に20ドル値上げしたAmazon Primeの会員増大を狙っていると見られている(Amazon.com、米国で「Prime」の年会費を99ドルに値上げ)。

 なお米Forbesは、Prime Musicの100万曲という楽曲数について、2000万曲以上ある他社サービスに比べて見劣りがすると報じている。また契約の都合上、Prime Musicで提供される楽曲はリリースから半年以上たったものに限られる。

 ただしForbesによると、一般的に音楽サービスで利用される楽曲は全体の一部にすぎない。Amazon.comの会員がそれほど新曲を求めているとも考えられず、100万曲がターゲット層の好みに合ったものであれば、曲数の少なさはあまり問題にならないだろうと同誌は伝えている。

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