写真1●網側からセキュリティアプライアンス機能を提供できる「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」
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写真2●同社の東海林崇執行役員常務ソリューション事業本部長
写真2●同社の東海林崇執行役員常務ソリューション事業本部長
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写真3●カスタマーコントローラの画面。SDN機能を用い、セキュリティアプライアンスの機能のオンオフがこの画面から一括制御できる
写真3●カスタマーコントローラの画面。SDN機能を用い、セキュリティアプライアンスの機能のオンオフがこの画面から一括制御できる
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 KDDIは2014年6月12日、法人向けの新たなWANサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2(WVS2)」を9月末から提供開始すると発表した。7月末から受け付けを開始する(写真1)。

 WVS2は、2009年から同社が提供しているレイヤー2/レイヤー3混合WANサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch(WVS)」の機能強化版にあたる(関連記事:新世代WANサービス“バースト通信”のすべて)。「WVSは2009年の導入以来、広くユーザーに受け入れられてきたが、クラウドやスマートデバイスが急速に台頭してくる中、ネットワークだけが十分な進化を遂げていなかった」と同社の東海林崇執行役員常務ソリューション事業本部長は説明する(写真2)。そこで今回のWVS2では、新たなユーザーニーズに応えるため、「広域ネットワーク側にセキュリティ機能を持たせ、クラウドやスマートデバイスを安心して利用できる環境を作り上げた」(同)という。

 具体的にはハードウエアタイプのアプライアンスをオンプレミスに設置する場合が多い、ファイアウォールやIDS/IPS、URLフィルタリング機能などをWANサービスとセットで網側から提供する。このような形態を取ることで、様々な通信経路を通ることが多いスマートデバイスやクラウドサービスを利用する場合も、横断的にセキュリティ機能を適用できる仕組みだ。

 これらの機能は、SDN機能を使って「カスタマーコントローラ」と呼ぶポータル画面から自在に構成できるという(写真3)。これまで90日ほどかかっていた製品導入が1日程度で完了する。なお利用するアプライアンス機能は選択可能で、いわゆる「サービスチェイニング」の形態も実現しているという。この経路制御部分にもSDN機能を使っているが、利用している仕組みは非公表。ちなみにOpenFlowプロトコルではないとのことだ。

 提供料金は、利用するアプライアンスメニューや各アプライアンスの帯域の太さ、拠点数によって変動する。例えば、インターネット帯域を1Gビット/秒のベストエフォート、インターネットファイアウォールやIDS/IPS、URLフィルタリング、Webアンチウイルス、メールアンチウイルスのセキュリティ機能を利用する場合、月額料金は12万円(税別)となる。

 今後の売上げ目標として東海林本部長は、「国内のアプライアンス市場は現在8000億円規模ほどある。今後4~5年でそのうちの500億円ほどをWVS2で狙っていきたい」とした。2015年春には、第2弾としてオーバーレイ型の仮想ネットワーク機能も追加するという。

 ちなみにNTTコミュニケーションズも7月から、アプライアンス機能を網側から提供するサービスを海外で開始予定だ。同社のWANサービス「Arcstar Universal One」のオプション「Value Added Services」となる。こちらは同社が買収した米バーテラ・テクノロジー・サービスの仕組みを使い、網側のアプライアンス機能を、いわゆる「NFV(Network Functions Virtualization)」の形態で仮想基盤上に構築している。

 これに対しKDDIのWVS2は、NFVの形態を取っておらず、網側ではハードウエアタイプのアプライアンスを用意しているという。

 NTTコムとKDDIのサービスの登場時期が重なっているが、両社とも「お互いを意識したわけではない。たまたま時期が重なっただけ」としている。

ニュースリリース