写真●今後の事業戦略を説明する米トレジャーデータの芳川裕誠CEO
写真●今後の事業戦略を説明する米トレジャーデータの芳川裕誠CEO
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 ビッグデータの収集・蓄積クラウドサービスを手掛ける米トレジャーデータは2014年6月12日、今後の事業戦略を発表。自動車をはじめとする製造業で注目が集まるIoT(インターネット・オブ・シングス)分野で自社サービスが活用されるような取り組みを進めていくことを明らかにした。

 トレジャーデータは2011年、米レッドハットなどに在籍していた芳川裕誠氏ら日本人3人が、米国シリコンバレーに立ち上げたIT企業。独自技術を駆使した「トレジャーデータサービス」と呼ぶビッグデータの収集・蓄積クラウドサービスを手掛けている。

 クラウド上にHadoopをベースにしたデータ蓄積クラウドを構築。PC(パソコン)のファイル操作のようにデータを簡単にアップロードできるようにする一方、蓄積したデータはカラム型データベース上に格納されたものとして処理・分析に生かせる。

 さらにデータ蓄積基盤の拡張など運用業務も請け負う。こうした運用支援も含まれたデータ分析基盤がクラウドで利用できるとあって、2012年11月から日本国内でも事業を開始して以降、クックパッド、良品計画、NTTドコモ、グリーなどが採用している。

 これまではECサイト運営やソーシャルゲーム基盤の運営を手掛ける企業が、ログ分析などのために利用しているケースが多かった。それがここ最近は、自動車に搭載されるセンサーからのデータを走行中にリアルタイムに収集し、メンテナンスだけでなくマーケティングにも生かそうという動きが加速しているという。

 「自動車を含めた製造業は日本経済の本丸。そういった企業でIoTやM2Mに取り組みやすいよう支援していく」。芳川CEO(最高経営責任者)はこう意気込む。

 具体的には、これまで提供していたWebサーバー上でデータを収集するソフトウエアモジュールに加えて、組み込みOS上でログなどのデータを収集できるソフトウエアモジュールを開発していく。「スマートフォンといったモバイル端末や自動車、飛行機、電力グリッドなどからのデータと、基幹系システムのデータを統合して分析できるようにしていく」(芳川CEO)。

 このほか、既にトレジャーデータサービスを利用してデータを分析している先行事例で蓄積したノウハウを踏まえて、特定業種向けにデータ分析も組み込んだソリューションサービスも追加していく。2014年5月に、オンラインゲーム提供事業者向けのソリューションサービスを皮切りに、オンラインマーケティング分野や広告分野といった業種特化サービスを加えていく。

 トレジャーデータの堀内健后ジェネラルマネージャーは、「オンラインゲームで複数ゲームを横断的に分析するやり方は、小売業のオムニチャネルでの分析にも役立てられる。そういった異業種にも適用できることを、セミナーなどを開いて伝えていきたい」と語る。