あらゆる機器やモノがインターネットにつながり、大量のデータを発信させる。それらを分析することで新たな知見やビジネス展開が可能になる。こうした「IoT(インターネット・オブ・シングス)」あるいは「ビッグデータ」の潮流は、企業のIT部門やIT企業の守備範囲にどのような影響を与えるだろうか。

写真1 IT事業を担当するフィリップ・アルソノ シニア・バイスプレジデント
写真1 IT事業を担当するフィリップ・アルソノ シニア・バイスプレジデント
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 「サーバーや空調設備などのエネルギー消費量や室内の気流や温度分布をきめ細かく把握し、それらを分析した結果を基に、データセンターのライフサイクルを通じて、効率を高め、全体のメンテナンスや設計に役立てていける」。仏電機大手シュナイダーエレクトリックでIT事業を担当するフィリップ・アルソノ シニア・バイスプレジデントの指摘がヒントになる(写真1)。

 IoTやビッグデータはマーケティングやセールス、生産やメンテナンスサービス、あるいは研究開発にインパクトがあるとして注目を集めているが、どちらかといえば事業部門がリードするものであって、IT部門やIT企業はデータの収集と蓄積、分析を請け負う役割と見られがちだ。しかし、データセンターやサーバールームに改めて着目すれば、そこにおいてもインパクトを出せる。

 例えば、データセンターやサーバールームに置かれた各種IT機器や空調設備の稼働状況や温度を、センサーなどで把握する。これも一つのIoTであり、これまで採っていなかった大量データの収集と言える。

 「IoT時代にはデータ量が増え続ける。それに伴い、データセンターやサーバールームのエネルギー消費量が格段に増える。エネルギー消費量や空調効率を考慮せずにサーバーや空調設備を増設し続ければコストが膨らんでいく」(アルソノ氏)。

 これでは本業の製品やサービスから得られる利益を目減りさせかねない。また、室内に高温の空気が集まる「熱だまり」を生み、熱に起因する機器障害によって業務やサービスの停止を余儀なくされるリスクも抱えてしまう。

 そこでIT部門がデータセンターやサーバールームそのもののデータを詳細に把握し、それを生かしてエネルギー消費とコストを抑制できれば、企業の利益に貢献することが可能になる。IT部門がIoTとビッグデータ利用に自ら取り組む道があるわけだ。