「ようやく羅針盤ができた」。電子部品製造の北川工業の北川清登代表取締役社長はこう満足する(写真1)。同社は海外拠点向けの基幹系システムを刷新し、現在安定稼働させている。同社は2014年3月、グローバルに展開する7拠点でERP(統合基幹業務システム)導入を終え、各拠点の実績などを一元的に把握できる仕組みを整えた。

写真1●北川工業の北川清登代表取締役社長
写真1●北川工業の北川清登代表取締役社長
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 同社の顧客はAV家電の製造業などが中心。昨今は、家電業界の不振もあって、自動車向け部品の開発・販売にも力を注ぐ。海外に拠点を置く顧客の増加もあって、北川工業も海外拠点を順次新設・拡大させてきた。米国やドイツ、中国、シンガポール、タイなど、欧州とアジアを中心に拠点を構える。「拠点によって開設時期が異なる。システム構築は現地に任せていたため、グループ間のシステムはバラバラの状態だった」と、北川社長は語る。スクラッチでシステムを開発する拠点もあれば、パッケージソフトを使う拠点もあるなど、混在していた。


 拠点ごとにシステムが違うことで、北川工業が課題と感じていたのが、本社側が各拠点の売上情報などを逐次確認することが難しかった点である。「連結決算時の対外発表のための数字をまとめるので精一杯。何がどこにいくらで売れているのかといった営業情報はさっぱり分からなかった」(北川社長)。


 そこで、ERPのグローバル導入に踏み切った。売り上げの明細までを本社側が把握し、素早く判断を下せる体制を整えるためだ。グローバル展開するパッケージには、タイ拠点が既に利用していた東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の「A.S.I.A.」を採用した。北川工業の海外拠点全てをサポートできる点が、決め手だったという。約3年をかけて、展開プロジェクトに取り組んだ。