東京大学生産技術研究所と日立製作所は2014年6月4日、共同で研究開発してきた「超高速データベースエンジン」が、2014年3月に従来型データベース比で約1000倍の処理性能を達成したと発表した。共同開発の取り組みは、内閣府最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた超高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川優 東大生研教授/国立情報学研究所所長、実施期間:2010年3月~2014年3月)に基づく(関連記事)。

 東大生研と日立は、2010年3月から2014年3月の約4年間、「非順序型実行原理」に基づき、超高速データベースエンジンの研究開発を進めてきた。データ入出力要求の発生順序とは無関係な順序で、非同期にデータを処理することにより、データベース処理や入出力処理の多重度を追求。マルチコアプロセッサやストレージの利用効率を高め、従来型データベースエンジンに比べ桁違いに高い処理性能を目指した。

 これまでプロジェクトは段階的に成果を積み上げてきた。2011年6月には、一般的なHDD(ハードディスクドライブ)構成のストレージ環境で従来型データベースエンジン比で約100倍のデータ解析処理性能を実現したと発表(関連記事)。2013年8月には、同等の性能をフラッシュストレージ環境で確認した(関連記事)。

 2012年6月には、研究成果を生かしたデータベース製品を日立が製品化(関連記事)。その後の共同開発成果を利用した日立製データベース製品は、データベース性能ベンチマーク「TPC-H」における最大100テラバイトのクラスへ世界で初めて登録された。