米Wall Street Journalは現地時間2014年6月1日、米Googleが人工衛星を使ったインターネット接続促進プロジェクトに、10億ドル以上を投資する計画だと報じた。

 同紙は事情に詳しい関係者の話として、Googleはまず小型で高容量の低軌道衛星を180基打ち上げ、その後順次、衛星の数を増やしていくと伝えている。

 このプロジェクトを率いるのは、衛星通信サービス企業、O3b Networksの創業者、Greg Wyler氏。Wyler氏とO3b Networksの前最高技術責任者(CTO)のBrian Holz氏は、すでにGoogleに移籍しているという。またGoogleは、商業衛星通信システムの設計・製造を手がける米Space Systems/Loralからも技術者を雇い入れている。

 Googleの同プロジェクトは、インターネットへのアクセスがない発展途上国などに向けてサービスを広げる目的と見られている。同社は、2013年に気球を使うインターネット接続環境構築プロジェクト「Project Loon」を開始。2014年4月には、無人飛行機メーカーの米Titan Aerospaceを買収した(関連記事:Google、Facebookとの交渉が報じられた無人飛行機のTitanを買収へ)。

 Wall Street Journalは専門家の話として、無人飛行機はやがて気球に取って代わるのではないかと伝えている。その一方で、無人飛行機と衛星は互いに補完するともいう。無人飛行機は比較的人口の多い狭い地域に向けて、大容量で高品質の通信サービスを提供できる。人工衛星は、より人口の少ない比較的需要の低い地域を広範にカバーできる。

 O3b Networksの人工衛星の重さは1基約680kg。だがGoogleは約110kg以下の小型衛星を数多く打ち上げ、地球全体をカバーしたい考えだという。

 なおこの人工衛星プロジェクトにかかる費用は、10億~30億ドルと見られている。費用は、最終的なネットワークの規模によって大きく異なる。計画の最終段階で衛星の数が当初計画の2倍になる可能性もある、とWall Street Journalは伝えている。