中国政府が国内銀行に対し、米IBM製サーバーを撤去して国内製品に置き換えるよう迫っていると、米Bloombergが現地時間2014年5月27日に報じた。

 Bloombergが複数の関係者から得た情報によると、中国人民銀行や財政省などの中国当局は、銀行におけるIBM製ハイエンドサーバーへの依存が、国内財政の安全保障を脅かしていないか調査しているという(関連記事:「二重苦」に苦しむ米国大手ITベンダー、ハードウエアと中国事業が足かせに)。

 これは米政府が中国当局者5人を起訴したことに対する報復行為の一環と見られると、同メディアは指摘している。米司法省(DOJ)は5月19日、米企業などに対するサイバースパイの容疑で中国人民解放軍の官僚5人を訴追したことを明らかにした(関連記事:米政府、サイバースパイ容疑で中国当局者5人を訴追)。

 これに対し、中国政府は「事実無根」だとして「米国が中国政府、企業および個人に対するスパイ行為を行っていたことは明確」と反論。その後、中国政府機関で使用するコンピュータについて、米Microsoftの「Windows 8」システムの購入禁止を命じたと報じられたほか(関連記事:中国、中央省庁が調達するコンピュータで「Windows 8」を禁止)、国家安全と公共の利益を守るためとして主要IT製品およびサービスを調査すると発表した(関連記事:中国政府が技術企業を調査へ、「国家安全と公益を守るため」)。

 また、中国政府は米政府の盗聴プログラムに手を貸したとして、米Cisco Systemsを激しく非難していると、米InfoWorldは伝えている。中国青年報は、「Ciscoは中国のインターネットインフラ構築に協力しつつ、盗聴ツールを自社製品にインストールしていた」とする記事を掲載した。

 CiscoのJohn Chambers最高経営責任者(CEO)は、米技術企業に対する信頼が失墜する懸念があるとして監視活動の規制を求める書簡を5月15日に米大統領に送っている(関連記事:Cisco、当局の監視活動の規制を米大統領に要求、新興国で大幅な受注減)。その前日に、米国家安全保障局(NSA)がインターネット行動を監視するためのツールを技術装置に埋め込んでいることを示す資料として、NSAスタッフがCisco製品の箱を開けている写真がネット上に出回った。