写真1●無線LANビジネス推進連絡会の説明会の様子
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写真2●災害用統一SSIDは「00000JAPAN」
写真2●災害用統一SSIDは「00000JAPAN」
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 無線LANビジネス推進連絡会は2014年5月27日、「大規模災害時の公衆無線LANの無料開放」と「訪日外国人向け公衆無線LANの環境整備」の取り組みを発表し、説明会を開催した(写真1)。

 同連絡会は2013年1月に発足。「93の企業・団体が会員。通信事業者やベンダー、自治体、学術団体、販売代理店など多様な企業・団体が加入しており、無線LANの課題への対応と健全な普及に向け業界横断的に取り組む」(会長を務めるNTTブロードバンドプラットフォームの小林忠男代表取締役社長)という場である。一般利用者向け普及啓発・セキュリティ啓蒙委員会、運用構築委員会、新技術導入促進委員会、リエゾン委員会の四つの委員会がある。またオリンピックに向けて、四つの委員会を横断的に検討するオリンピック小委員会を設けている。

 大規模災害時における公衆無線LANの無料開放については、「大規模災害発生時における公衆無線LANの無料開放に関するガイドライン」を策定し、同日公表した。説明会では運用構築委員長を務めるKDDI コンシューマ事業企画本部の大内良久Wi-Fi事業推進室長が、ガイドライン策定の背景や内容を解説した。

 連絡会では、昨年4月から災害時無料開放についての検討を続けてきた。昨年9月には、釜石市と仙台市で実証実験を実施。「釜石市の実証実験では、手順が分かれば9割程度の方は使えることが判明した。言い換えれば、災害時にどうやって無線LANが使えるかを国民にしっかり周知していかなければ使えない」(大内氏)。それから半年かけてガイドラインを策定した。説明会では、自治体と事業者の連携の重要性も指摘した。

 このガイドラインでは、公衆無線LANを無料開放する大規模災害を、公衆無線LANが効果を発揮するシーンで定義。「携帯インフラが広範囲に被害を受け、携帯電話やスマートフォンが利用できない状態が長時間継続する恐れがある場合」とした。無料開放を発動する目安の時間は、人命救助の確保の観点から72時間以内とした。推奨される災害用ポータルにも言及している。

 無料開放のパターン(方法)は、「提供中の“固有のフリーSSID”による無料開放」に加えて、「災害用統一SSIDによる無料開放」の二つを盛り込んだ。災害用統一SSIDは、「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)とする(写真2)。端末のSSID一覧の上の方に出るようにしてユーザーに認知してほしいとの考えから、このSSIDとした。

 このSSIDを使って、通信事業者などが提供する公衆無線LANを、契約者以外のユーザーにも、オープン認証、暗号化なしで開放する。00000JAPANへの対応は、携帯電話事業者が提供する公衆無線LANサービスから始めるという。また、2015年3月に仙台市で開催される「国連防災世界会議」で00000JAPANによる無料開放を予定している。

 訪日外国人向けの公衆無線LANの環境整備については、成田空港や福岡市、スターバックス、京浜急行、東京お台場FreeWiFi、高速道路サービスエリアなどの事例や、NTT-BPが展開している「Japan Connected-free Wi-Fi」(訪日外国人向けに一回の登録で複数のエリアで接続できるというアプリ)などの取り組みを紹介。「セキュリティを確保しながらの利便性向上と、官民連携によるスポットの拡大と使いやすい環境整備に積極的に取り組んでいく」(大内氏)と説明した。