写真●ガートナーリサーチ バイスプレジデントの堀内秀明氏
写真●ガートナーリサーチ バイスプレジデントの堀内秀明氏
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 アナリティクスがもたらす変革について、傍観者であるべきでない――。ガートナーリサーチ バイスプレジデントの堀内秀明氏は2014年5月22日、ガートナージャパンが開催した「ビジネス・インテリジェンス&情報活用サミット2014」に登壇し、データ分析の領域で起こる変化に対し、いち早く動き出すべきだと主張した(写真)。

 堀内氏は、「アナリティクスがもたらすビジネス変革に備えよ」と題した講演に登壇。ガートナーが2011年から実施している従業員2000人以上の企業を対象にした調査に基づき、分析対象としてる期待するデータが変わってきていることを指摘した。具体的には、企業内に蓄積される基幹系システムのデータ活用について、3年間で期待が2割ほど減少している一方で、コールセンターや窓口業務といった顧客対応履歴や、各種のセンサーから取得するデータへの期待が増加。「基幹系業務から生じるデータへの期待に近い水準になってきた」(堀内氏)とする。

 データを活用したビジネスモデルの変化にも言及。「Kaggle」という、データサイエンティストたちのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトで、鉱山会社がコンテストを開いて有効な分析モデルを入手した事例を挙げ、「もはや自社内だけでデータ活用を考えるような時代ではない」と断じた。

 さらに堀内氏は、2017年までにコンピュータの10%が自ら学習するようになる、分析対象の50%以上が計測機器から発生するデータになるといった同社の予測を提示し、データ活用によるビジネスの変革は、「既に始まっている」と続ける。同氏は、「10年間データを蓄積しなければできないビジネスがあるとすれば、競合他社はその後10年間追い付けない」とし、「今から準備できるものは準備すべきだ」と力を込めた。

 最後に、「大きな変革の準備期間が始まっている」と話し、「傍観者であるべきではない」と早急に課題に取り組むことの重要性を訴え、講演を締めくくった。