写真1●衆議院議員で自由民主党IT戦略特命委員長の平井たくや氏
写真1●衆議院議員で自由民主党IT戦略特命委員長の平井たくや氏
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写真2●須藤修OGC会長(東京大学大学院情報学環長・教授)
写真2●須藤修OGC会長(東京大学大学院情報学環長・教授)
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 オープンガバメント・コンソーシアム(OGC)は2014年5月22日、年次総会を開催した。引き続き都内で記者会見を開き、今年度の活動方針について報告した。

 会見の冒頭、衆議院議員で自由民主党IT戦略特命委員長の平井たくや氏が挨拶し、2014年中の法案成立を目指す「サイバーセキュリティ基本法」について講演した(写真1)。平井氏は、「IT基本法を施行した2001年と現在では、驚くほど環境が変わっている。新しいセキュリティの概念を作らなければ、ITを使って国家を成長させようとしたときの足かせになってしまう。だから今、時代に即した新たなセキュリティ法案が必要だ」と、サイバーセキュリティ基本法の必要性を訴えた。

 さらに、2012年に開催されたロンドンオリンピックを例にとり、「英国は、オリンピック開催に向けてインフラを整備している最中に、多くのサイバー攻撃を受けていた。2020年の東京オリンピックも、最大の標的になることは間違いない。どう対処するのか、政府、東京、民間企業が協力して考えていかなければならない」(平井氏)と、サイバーセキュリティの重要性を強調した。

 続いて、須藤修OGC会長(東京大学大学院情報学環長・教授)が「ビッグデータ分析とイノベーション」と題して講演(写真2)を行った。現在、国土交通省で検討している自動車のデータを使った新たなビジネスモデル創出のための研究について説明。須藤氏は、「車載データを使って、One To Oneで自動車保険料を決めることを検討している。これにより、急発進、急ブレーキが多い運転者は、保険料を高くするなどといったことができるようになる。このような料金の決定方法は、米国や英国では既に始まっており、日本でも2020年までには始めたいと考えている」と、語った。

 また、OGC傘下の各分科会からも今年度の計画について報告があった。まず、メディカルコンバージェンス分科会は、地域医療再生を支援する地域版EHR(電子健康記録:Electronic Health Record)の普及、ビッグデータ・標準化分科会は、スマートシティが保有するオープンデータの利活用、サイバーセキュリティサブ分科会は、東京オリンピックに向けて日本版セキュリティ成熟度モデルの実装レベルを検討、高度IT人材育成分科会は、多面的なスキルを持つグローバル人材の育成、スマートシティ分科会は、福島県会津若松市のスマートグリッド強化、HTML5研究会は、レスポンシブWebデザインを中心とした研究---に取り組むとした。