NECは2014年5月23日、中国電力の島根原子力発電所2号機に、故障の兆候を発見するシステムを納入すると発表した。プラントに設置した大量のセンサーから得たデータの相関を独自技術で分析、異常を検知して故障予知につなげる。受注額は数億円。6月下旬には、実プラントでの運用を開始する。

 今回、NECが納入するのは、独自技術である「インバリアント技術」を搭載した「大規模プラント故障予兆監視システム」。中国電力と約3年間にわたる訓練設備での研究・開発、実証実験を経て、実用化した。プラント内に設置された振動計や圧力計、温度計、加速度計といった約2500種類、約3500におよぶセンサーから計測情報を取得、各データの相関から故障の予兆を見出す。

 まず、各センサー情報の関連性を分析し、「正常な状態」を定義する。センサーから収集したデータはリアルタイムに分析し、定義した「正常な状態」とは異なる状況を発見すると、警告を発する。従来は熟練した技術者が人手で解析していた故障の影響範囲や原因の切り分けまでを自動で実施でき、対処時間の短縮や作業負荷の軽減に役立てる。

 従来の単純なしきい値設定による故障判定では、故障が発生してから警告を発していたが、同システムの導入で、予兆を見出せるという。NECは、ほかの発電所や化学プラントなどにも展開したい考え。2~3年間で100億円の売り上げを目指す。