中国政府は現地時間2014年5月22日、国家安全と公共の利益を守るためとして、主要IT製品およびサービスを調査すると発表した。中国国営の新華社通信や中国ポータルサイト「新浪(SINA)」などが報じている。

 調査は主に、通信、金融、エネルギーなど重要な産業で導入されている技術製品やサービスを対象にする。「サプライヤーが自社製品を使って不正に顧客のシステムを制御、妨害、停止したり、あるいは顧客の情報を収集、保存、使用したりするのを防ぐことが目的」だとしている。

 調査で基準を満たしていないと判断されたサプライヤーは、中国企業であるか外国企業であるかに関わらず、中国での製品およびサービス提供を禁じられるという。

 中国国家インターネット情報弁公室は「インターネットやコンピュータシステムにおける技術使用が確実に安全で管理されていることは、中国の国家安全、経済および社会の発展、人民の正当な権利と利益にとって極めて重要だ」と説明した。

 また、「長い間、少数の国の政府と企業が機密情報を大規模に収集し、市場の独占的地位と技術的優位性を利用している。顧客の利益を著しく損なうだけでなく、他国のサイバーセキュリティに脅威を与えている」と、名指しはしなかったものの、米政府の情報収集活動を批判した。

 米政府は5月19日、米企業などに対するサイバースパイの容疑で中国人民解放軍の官僚5人を訴追。中国政府は「事実無根」だとし、「米国が中国政府、企業および個人に対するスパイ行為を行っていたことは明確」と反論した(関連記事:米政府、サイバースパイ容疑で中国当局者5人を訴追)。その翌日、中国中央省庁のコンピュータで「Windows 8」を使用することを禁じる通達が出されたと伝えられている(関連記事:中国、中央省庁が調達するコンピュータで「Windows 8」を禁止)。

 なお米国では、米下院諜報委員会が2012年に「中国Huawei Technologies(華為技術)および中国ZTE(中興通訊)には中国当局の影響が及んでおり、両社製品の導入は米国の安全保障を脅かす」と結論づけ、米国の通信事業者に2社との取引を行わないよう勧告(関連記事:中国のHuaweiとZTEが米下院の報告書に反論、「我が社の機器は米国でも安全」)。米国から中国製品を排除しようとする動きがたびたび見られている。