写真1●シスコのRobert Lloyd氏
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写真2●Intercloudのエコシステム
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写真3●Intercloudのアーキテクチャ
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写真4●ACIについて説明するシスコInsieme Business Unit SVPのSoni Jiandani氏
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写真5●既存スイッチ製品もACI対応へ
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 米シスコシステムズは、南アフリカのNTTグループ子会社であるディメンションデータとInternet of Things(IoT)関連で提携した。

 シスコが2014年5月19日から米国で開催中の同社イベント「Cisco Live 2014」において、同社Development and Sales担当のPresidentであるRobert Lloyd氏が基調講演に立ち、明らかにした(写真1)。

 ディメンションデータが世界中の10あるデータセンターから提供しているパブリッククラウドサービス(IaaS)を、シスコのプライベートクラウド向け技術と組み合わせ、シスコのブランドを冠してパートナー経由などで売る。パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせる、いわゆる「ハイブリッドクラウド」に向けたソリューションである。

 主に新興国市場における中規模のサービス提供事業者を狙う。シスコは現在2種類のハイブリッドクラウドサービスを検討中で、90日以内にグローバル規模でこれらを投入するという。

 同社は今後2年間で10億ドル以上をクラウド事業に投じる予定であり、今回の提携もその戦略の一環である(写真2)。IoTのデータを、パブリッククラウドやプライベートクラウドなどで分析し、扱うための基盤とする。開発検証環境や災害対策への利用も見込む。

 両社の提携の核になるのが、シスコが2014年3月に発表したハイブリッドクラウド向けのアーキテクチャである「Intercloud」だ。プライベートクラウドとパブリッククラウドをL2でセキュアに接続する「Intercloud Secure Fabric」、ハイブリッドクラウド全体の管理ポータルとなる「Intercloud Director」などから成る(写真3)。ディメンションデータのIaaSと、これら二つを組み合わせる。

 シスコのIntercloudのパートナー企業は、3月の発表時にはオーストラリアの通信事業者であるTelstraや米Sungard Availability Servicesなどが挙げられていたが、今回ここにディメンションデータが加わった形である。

基盤はACIで構築

 こうしたハイブリッドクラウドサービスは、前日の基調講演で同社会長兼CEOのジョン・チェンバース氏が強調していたシスコ流のSDN「ACI」を用いて構築する(関連記事:ついにSDNに本腰入れ始めたシスコ、チェンバースCEOが年次イベントで強調)。

 ディメンションデータをはじめとするIntercloudのパートナー企業は今後、自社のパブリッククラウド基盤にACIを取り入れる。プライベートクラウド側で自社技術を普及させるだけでなく、パブリッククラウド事業者に対してもACIという自社技術を広める戦略だ。

 ACIでは、QoSやSLAといった「ポリシー」ベースでインフラを管理できることが特徴。当初、シスコが買収したInsieme Networksが開発した「Nexus 9000」シリーズのみがACIに対応していたが、既存のスイッチ製品(Nexus 2000~7000)でも、ソフトのアップグレードによりACIのポリシーを受け取れるようになることがCisco Live 2014で明らかになった(写真4、5)。