写真1●ウェアラブル・ディスプレイを装着した東芝の田中久雄社長
写真1●ウェアラブル・ディスプレイを装着した東芝の田中久雄社長
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写真2●東芝の中期経営計画の概要
写真2●東芝の中期経営計画の概要
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 東芝は2014年5月22日、都内で開催した経営方針説明会において、メガネ型の「ウェアラブル・ディスプレイ」の試作機を公開した。こめかみ付近から、メガネのレンズ部分に映像を投映する仕組み。東芝が液晶テレビやPC向けに開発した「グラスレス3D」技術を応用している。

 自ら装着して“お披露目”した田中久雄社長(写真1)は、「(レンズに投映した)図面と実際のモノを比較したり、手順書を見ながら実際に作業したりといった用途に使える」と説明した。作業者が両手を自由に使えるため、社会インフラ設備の保守作業などを円滑化できるという。

 実用化の時期は未定だが、「B2CではなくB2B、特に社会インフラのメンテナンス用途などに特定して展開したい」と田中社長は述べた。

 ウェアラブル・ディスプレイは、東芝が進める「ニュー・コンセプト・イノベーション」の実例だ。全く新しい技術をゼロから生み出すよりむしろ、既に東芝が持っている技術を融合して、新たな価値を生み出すという概念を指す(関連記事)。関連して、植物工場やバーチャル試着といった「新規事業を育成している」と田中社長は説明した。

 2017年3月期に連結売上高7兆5000億円、営業利益4500億円を目指す中期計画も掲げた(写真2)。「エネルギー、ストレージ、ヘルスケアの三つの柱に集中投資する。東芝ならではの手法で成長エンジンを作り出し、創造的成長を目指したい」と田中社長は強調した。

 サーバーやストレージでフラッシュメモリーの採用が増えていることを受け、「NANDフラッシュではエンタープライズ向けビジネスを拡大する」(田中社長)。2014年3月期に1兆6934億円だった電子デバイス事業グループの売上高を、2017年3月期に2兆2000億円に伸ばす計画。

 ヘルスケア事業グループでは、2014年7月にヘルスケア社を発足させ、東芝グループ内の関連事業を統合する。医療機器のの遠隔保守サービスの強化やM&Aなどを通じて、2014年3月期に4108億円だった売上高を2017年3月期に7200億円に拡大させるとしている。