東京ケーブルネットワーク(TCN)は2014年5月21日、今秋から東京都文京区、荒川区、千代田区の集合住宅向けに電力供給ビジネス(高圧一括受電サービス)に参入すると発表した。

 高圧一括受電サービスでは、まず各住戸が個別に電力会社と交わしていた契約をマンション全体で一括して高圧電力として契約し受電する。その上で、管理組合の受電業務を代行するサービス業者が高圧電力を低圧に変圧して各住戸に配電することで、高圧電力契約と低圧電力契約の料金体系の違いにより、多くの場合に電気料金が割安になる。TCNは、今年4月8日に経済産業省の補助事業を推進する環境共創イニシアチブからMEMSアグリゲータとして採択されたことを機に、この事業への参入を決めた。

 TCNは、東京都文京区、荒川区、千代田区などで主にケーブルテレビ事業やインターネット接続事業を展開する。今回、事業エリア内のマンションを対象に、高圧一括受電サービスと一緒にエネルギー管理支援サービスを提供する。高圧一括受電サービスを契約したマンションには各住戸にスマートメーターを設置し、既存の電力会社よりも安い料金で電力を供給する。さらに電力使用量の見える化に加え、利用者がより節電を心がけるような時間帯別メニューを設定していく。将来的にはデマンドレスポンスと連携したピーク料金メニューの導入を計画している。またIPTV用セットトップボックスを活用し、各家庭のテレビに電力使用状況や料金明細などを表示するなど、新たなサービスの提供も想定している。

 日本アイ・ビー・エムは、TCNのMEMSアグリゲータ事業の基盤となるITシステムの構築と自動検針に必要なスマートメーターなどを提供する。スマートメーターからのデータ収集や管理、見える化サービスなどMEMSアグリゲータの基盤となるシステムの構築を支援する。

 新システムでは、「IBM WebSphere Operational Decision Management」を協和エクシオのAdaptive Biz Serviceに組み込んで活用することで、季節別や時間帯別といった電力料金プランを、柔軟かつ迅速に作成できるという。また、システムの基盤には、速やかな新規事業への参入や新規サービスの提供、マンション単位での急激な利用者の拡大や新規サービスの提供などへの柔軟な対応に向けて、IBMのクラウドサービス「SoftLayer」を利用する。

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