写真●第9回会合で挨拶する山本一太IT政策担当大臣
写真●第9回会合で挨拶する山本一太IT政策担当大臣
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 個人情報保護法の改正を検討している政府のIT総合戦略本部は2014年5月20日、「パーソナルデータに関する検討会」の第9回会合を開催し、技術検討ワーキンググループの佐藤一郎主査(国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系教授)が中間報告を行った。また、モバイル・コンテンツ・フォーラムなどのデータ活用する民間企業の4団体や規制改革会議が意見表明をした。

 会合の冒頭で挨拶に立った山本一太IT政策担当大臣(写真)は、身振りを交えてパーソナルデータの問題の難しさを力説。濃密な議論があったとして、規制改革会議や経済界に理解を求めた。山本大臣は法改正の大綱までに「あと何回議論することになるか分からない」としながらも、このままでは前に進まないとして「批判を覚悟してIT戦略本部で引き受けた」と強調した。

 会合では、技術検討ワーキンググループの佐藤一郎主査は検討会から依頼のあった「準個人情報」に含む項目などの技術的観点について、「準個人情報の定義についても検討した」と説明。単体では個人の特定性があるとはいえない情報でも、多量または多種の情報が収集されることで個人が特定される恐れのある情報を「(仮称)準個人情報」とし、新たに規制の対象とすることが適当とした。

 ただ、Cookieを含むWeb閲覧履歴については、技術の移り変わりが早く、技術的見地だけで判断できないとして「結論が出ないというのが結論」と述べた。

 また、個人特定性低減データへの加工方法の検討依頼について、第5回会合で示した技術検討ワーキンググループの結論を引き合いに「制度設計を前提にしないと、個人特定性低減データの加工方法は検討不能」と指摘。厳密な扱いが必要と述べた。第三者機関への情報提供については、実データの提供は現実的でないとしながらも、本人同意による第三者提供に相当する情報が必要と指摘した。

 さらに質疑で佐藤主査は、準個人情報は低減データにしないと第三者提供ができないという誤解があるとして、「例えばメールアドレスで同意を取る手段はある」と指摘。準個人情報だけで同意を取れないケースはクレジットカードや指紋など少ないのではないかとした。