図1●新技術では、第6世代LTOフォーマットの約62倍の容量が実現できる(出典:日本IBM)
図1●新技術では、第6世代LTOフォーマットの約62倍の容量が実現できる(出典:日本IBM)
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図2●今回の発表分と、これまでの面記録密度の記録更新時の仕様(出典:日本IBM)
図2●今回の発表分と、これまでの面記録密度の記録更新時の仕様(出典:日本IBM)
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 米IBMは米国時間2014年5月19日、磁気テープにおいて1平方インチ当たり85.9ギガビットの面記録密度を達成したと発表した。業界標準のLTOテープカートリッジにこの技術を適用したとすると、現行の最新規格である第6世代のLTOの約62倍に当たる154テラバイトの非圧縮データをテープ1巻に記録できるという。

 新記録はIBMと富士フイルムの共同試験の成果。富士フイルムが記録メディアの開発を担当し、IBMが対応するテープドライブの技術を開発した。

 富士フイルムは、独自の磁気テープ技術「NANOCUBIC技術」に改良を加えて高密度記録を実現。バリウムフェライト(BaFe)磁性体の微粒子化と熱安定性の維持を両立させたほか、BaFe磁性体を均一に分散する技術や均一薄膜塗布技術も改良した。

 IBMは新しいヘッド技術や、第6世代LTOの27倍以上に増えたことで細密化したトラックに追従するサーボ制御技術、新しい信号処理アルゴリズムを開発した。

 今回は試験結果の発表であり、製品化の見通しはまだない。ただ富士フイルムは、今回の試験で使用した磁気テープを従来の設備で生産できたことから、量産化も見込めるとしている。