米IBMは米国時間2014年5月19日、磁気テープにおいて1平方インチ当たり85.9ギガビットの面記録密度を達成したと発表した。業界標準のLTOテープカートリッジにこの技術を適用したとすると、現行の最新規格である第6世代のLTOの約62倍に当たる154テラバイトの非圧縮データをテープ1巻に記録できるという。
新記録はIBMと富士フイルムの共同試験の成果。富士フイルムが記録メディアの開発を担当し、IBMが対応するテープドライブの技術を開発した。
富士フイルムは、独自の磁気テープ技術「NANOCUBIC技術」に改良を加えて高密度記録を実現。バリウムフェライト(BaFe)磁性体の微粒子化と熱安定性の維持を両立させたほか、BaFe磁性体を均一に分散する技術や均一薄膜塗布技術も改良した。
IBMは新しいヘッド技術や、第6世代LTOの27倍以上に増えたことで細密化したトラックに追従するサーボ制御技術、新しい信号処理アルゴリズムを開発した。
今回は試験結果の発表であり、製品化の見通しはまだない。ただ富士フイルムは、今回の試験で使用した磁気テープを従来の設備で生産できたことから、量産化も見込めるとしている。