IT総合戦略本部の新戦略推進専門調査会「マイナンバー等分科会」(座長=金子郁容慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)は、2014年5月16日に開催した会合で示した「中間とりまとめ(案)」を公表した。

 それによると、2018年までのロードマップとして「マイナンバーの利用範囲の拡大」を掲げたほか、申請に基づく個人番号カードの普及策や、法人番号の「法人ポータル」の構築などを検討。非公開で行われた分科会では、中間とりまとめ案への意見集約を座長に一任したという。

 利用範囲の拡大では、関係府省の具体的検討課題として2018年までに検討し、番号法改正法案の提出など必要な制度改正などを行うロードマップを提示。マイナンバー制度の取り組みに「近接し、公共性が高く、国・地方・民間の情報連携などによりさらなるメリットが期待される事務」として、戸籍や旅券事務、預貯金付番(ペイオフ時の名寄せ、口座名義人の特定・現況確認など)のほか、医療・介護・健康情報の管理・連携、自動車登録事務などを列挙。「積極的かつ具体的に検討を進め、秋ごろをめどに、検討状況を政府CIOに報告する」としている。

 また中間とりまとめ案では、マイナンバー制度のうち「個人番号カードの普及」と「国民の利便性向上」が「ニワトリと卵」の関係にあるとして、「国民が個人番号カードの取得自体に利便性を感じられなければならない」と指摘。「国民が享受できるマイナンバー制度のメリットを具現化」することが必要だとしている。

 具体的には、ICチップが埋め込まれた個人番号カードの交付開始までに、健康保険証、地方公共団体の印鑑登録カードや施設利用カードなどの「各種カード類の個人番号カードへの一体化/一元化」を掲げた。国家資格や公務員身分など広く保有されている資格の証明書類も、国や地方自治体が率先して「公的個人認証サービス」やICチップの空き領域などを活用するという。

 キャッシュカード、クレジットカードなどの民間が発行するカードについても、ニーズを踏まえて、個人番号カードで利用できる公的個人認証サービスの民間開放とあわせて個人番号カードとの一体化や連携などに「官民相互にメリットが得られるよう、柔軟に検討を進める」とした。

 個人番号にひも付く特定個人情報や提供記録の確認を行える「マイポータル」「マイガバメント」は、呼称の変更を検討。個人番号カードによるログインについて「スマートフォンやタブレット端末やCATVなど、普及している媒体に幅広く対応させる」ほか、CATVの次世代セットトップボックスで「個人番号カードの読み取り機能の内蔵など、具体的な対応のあり方を検討」するとした。生体認証などの新たな技術の利用も柔軟に対応するという。

 また、特に利用制限はない法人番号についても、法人情報の参照、調達や補助金などの情報入手、各種の電子手続きができる「法人ポータル」の構築を検討。2016年1月以降、率先して国や地方公共団体が公開する法人情報に法人番号を付すほか、さらに既存の番号との連携拡大などを検討するという。

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