写真1●立命館守山中学校・高等学校の亀井且有校長(右)と電通国際情報サービス 執行役員 オープンイノベーション研究所の渡邊信彦所長
写真1●立命館守山中学校・高等学校の亀井且有校長(右)と電通国際情報サービス 執行役員 オープンイノベーション研究所の渡邊信彦所長
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 立命館守山中学校・高等学校と電通国際情報サービス(ISID)オープンイノベーション研究所は2014年5月15日、クラウドとSNSを活用し、生徒ごとの習熟度に応じた問題を提供する「アダプティブラーニング(適応学習)」を実践、検証するプロジェクトを発表した(写真1)。生徒はiPadを使って学習する。

 プロジェクトでは、ISIDオープンイノベーション研究所が開発中のアダプティブラーニング向けプラットフォーム「edumame(エデュマメ)」をベースにしたICT教育システム「RICS(Ritsumeikan Intelligent Cyber Space)」を構築(写真2)。 1問ずつ難易度や関連問題を示すメタ情報を付加した学習コンテンツを蓄積し、各生徒の学習進度に応じた問題を提示できるようにする。生徒はiPadを使って学校内や家庭などからRICSにアクセスし、画面に表示された問題の中から選択して学習する。教材は数研出版が提供する。

写真2●RICSプロジェクトの全体像
写真2●RICSプロジェクトの全体像
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 対象とする学年は、初年度で中学1年(159人)と高校1年(304人)。次年度以降、各年度の新入生に1人1台導入する。対象科目は英語と数学。6月までに、教員や生徒に対してiPadの操作や情報モラルの講演会、RICSの講習などを実施し、7月初旬から利用を開始。本格的な活用は夏休みの課題からとなる。

 立命館守山中学校・高等学校の亀井且有校長は、「目標とするグローバル人材の育成では、確かな学力や、自ら課題を発見し、解決する力などが必要となる。そのためには、知識伝達型ではなく学習者主体の学習スタイルが必要」と述べ、その手段の一つとしてアダプティブラーニングの重要性を強調した。

写真3●iPadに表示される画面イメージ
写真3●iPadに表示される画面イメージ
各生徒の学習進度に応じた問題を表示する。
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 RICSでは各生徒に最適化した学習のため、学習結果をクラウド上に蓄積し、類似問題やレベルにあった問題を提示する(写真3)。また、学習記録を分析し可視化することで、生徒や教師が学習上の課題や強みを把握できるようにする。将来的には、クラウド上に蓄積された学習記録や行動履歴の膨大なログを分析し、最適な学習手段や教材コンテンツの提供へと発展させるという。

写真4●質問を書き込んだときの画面イメージ
写真4●質問を書き込んだときの画面イメージ
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 SNS機能では、質問や問題を解いた感想、友達へのオススメなどを書き込めるようにし、教師と生徒、または生徒同士のコミュニケーションを可能にする(写真4)。さらに、課題を解けた人数など友達の状況がわかるようにする。これにより、仲間との協働や、能動的な学習へと結びつける。