図1 中期経営計画の概要
図1 中期経営計画の概要
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図2 集中的成長領域の取り組み
図2 集中的成長領域の取り組み
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図3 統合的成長領域の取り組み
図3 統合的成長領域の取り組み
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図4 多角的成長領域の取り組み
図4 多角的成長領域の取り組み
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 WOWOWは2014年5月15日の「2013年度決算説明会見」で、2014年度から2016年度までの3カ年を対象にした「中期経営計画」を発表した。

 同社は2020年を4K/8K放送やスマートテレビ向け放送通信連携サービスなどが本格的に展開される節目の時期と位置付けている。2013年度には今後の変革に向けたビジョンである「VISION2020」を策定した。今回の計画は「VISION2020」の具現化に向けた当面のロードマップとなる。

 同社は今後、「プレミアム・ペイチャンネル」から「総合エンターテインメント・メディア企業」への転換を目指す(図1)。「テレビ」と「Web」、「リアル」という三つのメディアで顧客にサービスを提供する事業体をイメージする。代表取締役社長の和崎信哉氏は2014年度からの3カ年について、「2020年に向けた土台固めの3年になる。新たな展開を具体化するのが重要と考えている」と述べた。

 2014年度からの3カ年は三つの領域で新たな取り組みを推進する。具体的には「集中的成長領域」「統合的成長領域」「多角的成長領域」である。

 「集中的成長領域」では、プレミアム・ペイチャンネルの一番手としての基礎力を強化し、収益基盤をより強固にする取り組みを進める。その一つとして、会員向けサービスの開発と充実を挙げた。和崎氏は、「これまで加入者という呼び方をしていたが、今後は会員と位置付けて活発にコミュニケーションをしていきたい」とした。会員サービスの強化による顧客満足度の向上や、映像配信サービスの「WOWOWメンバーズオンデマンド」の視聴促進による総接触の向上を目指す。新たな手法の市場分析による番組・編成の充実や、国際共同制作の強化も行う(図2)。

 「統合的成長領域」では既存リソースを活用し、「TV & Web」の具現化に取り組む。スマートデバイス向けサービスの開発や、放送サービス高度化への技術面とコンテンツ面での対応によって実現を目指す(図3)。

 「多角的成長領域」での取り組みは、放送局の枠を越えて既存ビジネス周辺領域での収益源を多様化することを目的とする。例えば、テレビおよびWebと連動したリアルサービスである「TV & Web & Real」エンターテインメントの実現と収益化に向けた準備を進める。他社との協業によって外部リソースを取り込み、周辺領域にある新規ビジネスへの投資機会の発見も目指す(図4)。

 2016年度の累積加入件数は276万件(2013年度末比11万件増)を計画する。2016年度連結業績は売上高が750億円(同48億円増)、経常利益は90億円(同15億円増)、売上高経常利益率は12%(同1.3ポイント増)を見込む。

 番組費については、「2014年度は2013年度並みになるイメージ」(常務取締役の佐藤和仁氏)という。2015年度と2016年度については、「コンテンツ次第だが、WOWOW単体の売上高に占める比率は34%程度もしくは35%程度になるのではないか」(佐藤氏)として、2013年度の比率(34.2%)と同程度になるという見通しを示した。

 2014年度の加入・収支計画も発表した。2014年度末の累積加入件数は267万8000件で、前年度比3万件の純増を計画する。連結業績の売上高は715億円(前年度比1.7%増)、営業利益は79億円(同9.9%増)、経常利益は80億円(同6%増)、純利益は51億円(同7%増)を見込んでいる。