図1 UGCプレミアム化のイメージ
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図2  KADOKAWAとドワンゴが持ち寄る経営資源
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図3 シナジー効果発揮のイメージ
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写真1 ドワンゴの川上会長
写真1 ドワンゴの川上会長
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写真2  KADOKAWAの角川会長
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 KADOKAWAとドワンゴは2014年5月14日、共同株式移転により2社の完全親会社となる「KADOKAWA・DWANGO」の設立によって経営統合することについて合意に達し、同日にそれぞれの取締役会の決議に基づき統合契約書を締結したと発表した。KADOKAWA・DWANGO(統合持株会社)設立のための株式移転計画書も作成した。

 KADOKAWAとドワンゴは、付加価値の高いコンテンツや新規サービスを迅速に提供することを目的として、2010年10月に包括的業務提携を、2011年5月には資本提携を行っている。2社の提携関係を強化し共通の理念と戦略の下での経営資源の有効活用を可能にする体制がステークホルダーの期待に沿うという認識から、経営統合を行うことにした。

 2社は、株主総会の特別決議による承認と経営統合に必要な関係当局の許認可を得ることを前提に、2014年10月1日を効力発生日(予定)として共同株式移転によって統合持株会社を設立する。統合持株会社は設立日の10月1日に上場を予定する。統合持株会社の代表取締役会長には川上量生氏(ドワンゴ 代表取締役会長)が、代表取締役社長には佐藤辰男氏(KADOKAWA 取締役相談役)がそれぞれ就任を予定する。

 5月14日開催の会見では、KADOKAWAの佐藤氏が今回の経営統合の意義の一つとして、ドワンゴのプラットフォーム上でのUGC(User Generated Content:ユーザーが制作したコンテンツ)を、KADOKAWAのコンテンツ編集力によってプレミアム化できる点を挙げた。「メディアミックスを含めたKADOKAWAの販売・流通施策を通じてコンテンツ販売事業を最大化できると考えている」(図1)とした。さらに「両社が持つリアルおよびインターネットのプラットフォームの融合によって相乗効果が生まれる」「KADOKAWAとドワンゴの紙媒体とネットメディアの融合により生まれる莫大なPVなどを背景に、新たな広告メニューやサービスを増設して広告収入を伸ばせるのではないかと期待している」などと述べた。

 2社はそれぞれの強みを相互に活用して補完性を高め、既存事業強化や新規事業創出の速やかな具現化を目指す。KADOKAWAの強みとして「コンテンツ」「編集力」「リアルプラットフォーム」などを、ドワンゴの強みとして「テクノロジー」「UGC創出力」「ネットプラットフォーム」などを挙げた(図2)。2社の間にシナジー事業を置いてそこに互いのリソースを持ち寄り、各社単独では実現できない事業の具現化を目指す(図3)。

川上氏と角川氏は「コンテンツは囲い込まない」とアピール

 ドワンゴの川上氏(写真1)は、今回の経営統合に伴ってコンテンツやプラットフォームを囲い込む意図はない点をアピールした。「KADOKAWAさんはこれからもYouTubeなどにコンテンツを提供すると思うし、ドワンゴもKADOKAWA以外のコンテンツを提供していく。経営統合のシナジー効果は、新たにプラットフォームとコンテンツを組み合わせるところで発揮されると考えている」と述べた。

 統合持株会社の取締役相談役に就任予定の角川歴彦氏(KADOKAWA 取締役会長、写真2)も、「コンテンツ事業者やコンテンツを囲い込まないオープンなプラットフォームを構築するという夢を持っている。その夢から外れるように見えたときは、ぜひ指摘してほしい」とした。このほかに取締役相談役の役割について、「川上君の発言に分かりにくい点があれば、それを翻訳して皆さんが分かるように伝えることが仕事だと思っている」という考え方を示した。

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