写真●レッドハットの廣川裕司社長
写真●レッドハットの廣川裕司社長
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 レッドハットは2014年5月14日、2014年度(2013年3月~2014年2月)の日本法人の事業方針と戦略を発表した。レッドハットの廣川裕司社長(写真)は、パートナー営業を強化するなどして「Linux市場の成長の倍のスピードで売り上げを拡大する」と語った。また注力する技術分野としては、コンテナ型仮想化技術である「Docker」やデータベース(DB)などの運用に適した分散ブロックストレージ「Ceph」などを挙げた。

 パートナー営業強化策については同日、認定パートナー(Red Hat Business Partner)を現在の250社から500社に倍増する方針を発表。このほか、パートナーが顧客に提案する案件を事前にレッドハットに登録することでレッドハットが提案を支援を行えるようにする「ディールレジストレーションプログラム」などを発表した。

 技術面では、IaaS(インフラ・ストラクチャー・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、仮想化について注力するとした。

 IaaSに関しては、クラウドOSである「OpenStack」の事業展開を強化する。日本市場ではまだ、レッドハットのOpenStackディストリビューション(検証済みパッケージ)を使ってプライベートクラウドを構築したという事例はないが、パブリッククラウド事業者がレッドハットのOpenStackを採用しようとする商談が、「数件進んでいる」(廣川社長)という。2014年は、日本でもOpenStackのパートナー制度を開始する。廣川社長は「OpenStackの『Grizzly』リリース以降、レッドハットがOpenStack開発に最も貢献している」と強調した。

 PaaSを構築するためのソフトである「OpenShift」に関しては、2014年6月までに日本市場でも発売する。時期は未定だが、将来的にはユーザーインターフェース(UI)も日本語化するという。廣川社長は「OpenShiftは、アプリケーション開発のスピードを高速化する『DevOps』を実現する上で鍵となる存在だ」と強調した。

 仮想化に関しては従来から「KVM」ベースの仮想化ソリューションを提供しているが、最新版の「Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 7」からは、コンテナ型仮想化技術であるDockerにも対応した。ストレージ仮想化に関しては、PCサーバー上で稼働するソフトウエアによってストレージを実現する「Software Defined Storage」を推進する。ファイルストレージに適した分散ストレージの「GlusterFS(Red Hat Storage Server)」に加えて、ブロックストレージのCephも手がけていく。Cephは、米本社が4月末に買収した米Inktankから買収したオープンソースソフトウエア(OSS)の分散ストレージソフトウエアである。

■変更履歴
OpenShiftについて、「2014年6月までにユーザーインターフェース(UI)を日本語化して、日本市場でも販売する」としていましたが、6月時点ではUIは英語版のままです。日本語化の次期は未定です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2014/05/15 19:50]