写真1●2014年3月期連結決算を説明する日本通信の三田聖二社長
写真1●2014年3月期連結決算を説明する日本通信の三田聖二社長
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写真2●月額課金SIMの回線数と解約率の推移
写真2●月額課金SIMの回線数と解約率の推移
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 日本通信は2014年5月8日、2014年3月期(2013年度通期)連結決算を発表した。売上高は前年度比18.4%増の46億6700万円、営業利益は同101.9%増の7億2300万円と、増収増益だった。月1000円以下でモバイル通信を利用できる「格安SIM」で一般消費者の注目度が高まっており、回線数が順調に拡大して好決算となった。

 同社が重要な経営指標としている「売上総利益率」(売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」が売上高に占める割合)は、54.0%(前年度は46.4%)。「格安SIM」が好調とはいえ、高い利益率を確保している。5月9日の決算説明会に登壇した三田聖二社長(写真1)は、「事業モデルとして確立してきた。(MVNO間の競争激化で)単純に値下げするのではなく、製品の質を高めて種類を広げていく」との方針を示した。

 主力の月額課金SIMの売上高は23億8200万円。3月末時点の累計回線数は11万1343件で、2014年1~3月期の平均売上単価は月2175円である(写真2)。解約率も低下傾向にあり、MNP(モバイル番号ポータビリティー)によるキャッシュバック狙いと想定される1カ月以内の解約を除くと、2014年1~3月期は3.7%まで改善した(前年同期は5.3%)。

 一方、プリペイドSIMの売上高は9億9700万円。2013年度の年間出荷数は20万9906件で、2014年1~3月期の平均販売単価は月2944円だった。こちらは堅調に推移している。

 現在の注力分野としては、(1)FMCフォン、(2)デュアル・ネットワーク、(3)スマートフォン+SIMカード、の3つを挙げた。(1)のFMCフォンは、スマートフォンを企業の内線電話や外線電話に使えるソリューションで、大手から中堅・中小企業まで幅広く顧客の開拓を進める。

 (2)のデュアル・ネットワークは、KDDI(au)とソフトバンクモバイルに接続を申請しており、実現でき次第、NTTドコモの回線と組み合わせたハイブリッド・サービスの提供を予定する。(3)のスマートフォン+SIMカードは、「イオンのスマートフォン」(関連記事)のように端末とSIMカードを組み合わせた販売を強化していく。

 2015年3月期(2014年度)の連結業績予想は、売上高が33.5%増の62億3000万円、営業利益は70.0%増の12億3000万円とした。