米Beats ElectronicsのWebサイト
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 米Appleが、ヘッドフォンなどのオーディオ機器と音楽ストリーミングサービスを手がける米Beats Electronicsの買収に向けて交渉を行っていると、複数の海外メディア(米Bloomberg米New York Timesなど)が現地時間2014年5月8日、英Financial Timesの記事を引用して報じた。

 Appleが計画している買収金額は32億ドルで、同社創業以来最大の買収案件になる見込み。Financial Timesは事情に詳しい関係者の話として、買収契約の締結は間近に迫っており、5月の第3週にも正式発表されるもようと伝えている。ただし、両社はまだいくつかの詳細について合意に達しておらず、交渉は決裂する可能性もあるという。

 Beats Electronicsは、音楽プロデューサーのJimmy Iovine氏とヒップホップのミュージシャン、Dr. Dre(Andre Young氏)が設立した会社。高価格帯のヘッドフォンなどオーディオ機器を手がけているほか、今年は「Beats Music」と呼ぶ音楽ストリーミングサービスを始めた。買収が成立すれば、Beats Electronicsの現経営陣は、AppleのTim Cook最高経営責任者(CEO)の直属になるという。

 Financial Timesによると、Appleの目的は音楽ストリーミングサービスとブランドの強化。業界全体における音楽ダウンロード販売の売上高は昨年2%減少したのに対し、ストリーミングサービスは50%増と急成長している。Appleは昨年9月に無料の音楽ストリーミングサービス「iTunes Radio」を開始したが、英Spotifyに対抗できるようなサービスにはなっていない。また著名なミュージシャンやスポーツ選手に好まれているBeatsは、都会のファッションブランドとして定着しており、AppleはBeatsのクールなイメージを欲しいのではないかとFinancial Timesは伝えている。