写真●富士通研究所の阿南泰三ソーシャルイノベーション研究所 イノベーションディレクター
写真●富士通研究所の阿南泰三ソーシャルイノベーション研究所 イノベーションディレクター
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 富士通研究所は2014年5月8日、利用者のニーズをリアルタイムに把握し、タクシーやバスなどを配備する技術を米マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同で開発したと発表した。時々刻々と変わる利用者ニーズに応じた効果的な配車を実現することで、事業者の利益を向上させる。

 今回発表した技術では、複数の車両に対してバスのような「固定路線モード」、タクシーと同様の「タクシーモード」、他の利用者と相乗りする「乗合モード」といった異なる運行スタイルを動的に割り当てる。利用者は、スマートフォンなどの端末から運行管理システムにアクセスして、出発する場所や時刻、目的地などを入力する。システムは、車両の運行状況や他の利用者からのリクエストを基に利用されると見込まれる車両の組み合わせを算出。「乗車便」として利用者に選択肢を提示する。

 これにより、タクシーを使いたい人が増えてタクシーが足りないのに、バスには人があまり乗っていない、といった状況が改善できる。富士通研究所の阿南泰三ソーシャルイノベーション研究所 イノベーションディレクターは、「変動する需要に対するミスマッチを防ぐことで、事業者の利益の最大化につながる」と語る(写真)。

 富士通研究所はMITの研究グループと共同で、人口分布や移動の軌跡について研究している。東京の多摩地区をモデルに実施したシミュレーションでは、事業者の利益が最大で80%向上したという。主に都市部への提供を想定している。2016年3月までに実証実験を完了させ、2017年3月をめどに実用化を目指す。