写真●NTTデータの岩本敏男社長
写真●NTTデータの岩本敏男社長
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 NTTデータは2014年5月8日、2014年3月期の連結決算を発表した。売上高は2013年3月期比3.2%増の1兆3437億円、営業利益は同27.0%減の625億円で増収減益となった。複数の不採算案件が発生し「合計で315億円」(岩本敏男社長、写真)の営業減益要因となった。

 セグメント別に見ると、金融や公共向けの「パブリック&フィナンシャル(P&F)」が減収減益。売上高は前の期比1.0%減の7216億円、営業利益は同6.8%減の601億円だった。既存大規模システムの規模縮小により減収となり、不採算案件が利益を押し下げた。

 製造業や流通業向けシステムを手掛ける「エンタープライズITサービス(E-IT)」も減収。不採算案件の影響が大きく、営業損益は前の期比で169億円悪化して37億円の赤字に転落した。

 海外事業の「グローバルビジネス(GB)」セグメントは、為替影響により増収。売上高は前の期比28.4%増の3145億円となった。一方で、営業損益は同42億円悪化し、51億円の赤字を計上。円安により中国のオフショア事業の採算が10億円程度悪化し、買収した企業の「のれん償却費」も円安で約20億円増えた。

 NTTデータは同日、2015年3月期の連結業績予想も発表した。売上高は前期比8.6%増の1兆4600億円になる見通しだ。前期に買収したスペインのエヴェリスグループが、「売上高を800億円程度押し上げる」と岩本社長は期待する(関連記事)。

 2015年3月期の営業利益は、前期比35.8%増の850億円になる見通し。エヴェリスののれん償却費用が約30億円発生するため、GBセグメントは営業赤字になる見込みだが、不採算案件を抑制することでP&FとE-ITの両セグメントの損益を改善。増益を達成する計画だ。

 「2014年3月末時点で、受注残高が1兆3000億円を超えている。過去4年は1兆1000億円程度だった。当社を取り巻く環境は非常に良い」と岩本社長は強調した。