写真●ソフトバンクの孫正義社長
写真●ソフトバンクの孫正義社長
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 ソフトバンクの孫正義社長(写真)は2014年5月7日に開催した決算説明会の席上で、今春に開始予定としていた900MHz帯におけるLTEサービスについて作業の遅延を認め、「今夏には(900MHz帯でLTEサービスを)開始できるめどが立った」と話した。

 2012年春にソフトバンクモバイルが認定を受けた900MHz帯は、全体では15MHz幅×2の割り当てだが、すぐに利用できる空き帯域は5MHz幅×2のみだった。残りの10MHz幅×2は、既存事業者がRFIDやMCA無線などで利用しており、ソフトバンクモバイルが立ち退きを促すという枠組みとなっていた。

 ソフトバンクモバイルは総務省に提出した開設指針計画において、既存利用事業者を立ち退かせる期間として2014年3月末までと申請。ただ2013年の段階で移行促進の計画が遅れており、総務省から口頭で注意される事態となっていた(参考資料:900MHz帯における終了促進措置に関する実施状況の概要と確認の結果(平成25年度第2四半期))。

 もともと空き周波数帯だった900MHz帯の5MHz幅×2は3Gの電波として利用しており、他社と同様に低い周波数帯でLTEサービスを展開するには、残り10MHz幅×2を空ける必要があった。孫社長は「既存事業者を立ち退いてもらうためにこちら側が機材を提供したり、まどろっこしいプロセスが必要だった。(900MHz帯の)移行作業はほぼ不可能と思われた」と珍しく泣き言を漏らした。ただここに来て「やっと立ち退いてもらう数千社のうち、あと数社の手続きを進めている段階までたどり着いた。心配していたよりは進んだ」(同)と説明。900MHz帯における今夏のLTEサービス開始のめどが立ったとした。

 一方、KDDIは今夏、NTTドコモは2014年度内に、キャリアアグリゲーション(CA、関連記事:商用化迫る!LTE-Advanced完全解説)を導入し、LTEサービスのピーク速度を150Mビット/秒や225Mビット/秒に向上する計画を明らかにしている(関連記事1:KDDIが今夏キャリアアグリゲーション導入、年度末に対応局を2万局に、関連記事2:ドコモも14年度内にLTE-Advanced、最大225Mビット/秒のキャリアアグリゲーション)。

 この点について孫社長は「我々は先の将来のサービスについてはコメントしない。しかしあと数カ月で900MHz帯でLTEサービスを開始できる、そうなると当然、900MHz帯と2.1GHz帯でキャリアアグリゲーションができるようになる」と、900MHz帯と2.1GHz帯を組み合わせたキャリアアグリゲーションによるサービス導入を示唆。孫社長は「我々は発表は最後発で、発表と同時にサービスインする。ネットワークのサービス競争でも他社に負けるつもりはない」と、他社との高速化競争にも対抗していく考えを示した。