写真1●NTTドコモの加藤薫社長
写真1●NTTドコモの加藤薫社長
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写真2●iPhone導入後、MNPは大きく改善しているという
写真2●iPhone導入後、MNPは大きく改善しているという
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 NTTドコモは2014年4月25日、2013年度通期(2013年4月~2014年3月)の連結決算(米国会計基準)を発表した。売上高は前年同期比0.2%減の4兆4612億円、営業利益は同2.1%減の8192億円の減収減益だった。期初に掲げた営業利益8400億円の目標は未達に終わった。

 営業利益目標が未達に終わった点について同社の加藤薫社長(写真1)は「スマートフォンの販売数が思ったよりも伸び悩んだことに尽きる」と説明する。iPhoneを導入した第3四半期以降、純増数やMNPの状況は大きく改善したが(写真2)、全体のスマホの伸びの鈍化が足を引っ張った。期初に掲げたスマホの販売目標1600万台には遠く及ばず、通期で前年比3.7%増の1378万台という結果になった。「スマホの伸びを推し進めるにはどうすればよいのかを考えたのが、先日発表した新料金プラン(関連記事:ドコモが新料金プラン発表、家族の囲い込み強化し長期契約者にも配慮)」(同)と語り、「2014年度は新たな成長軌道の礎を作りたい。大胆な変化を促したい」と続けた。

 なお同日付けで、ドコモが取得したインドの通信事業者タタ・テレサービスの株式を全て売却する方針を固めたことも正式発表した(関連記事:NTTドコモ,インドのタタグループとの資本提携で2640億円を出資)。

 営業利益目標の未達、タタテレサービスへの投資失敗の経営責任を明確化するため、「 取締役、執行役員の賞与を減額。代表取締役と相談役(山田隆持前社長)についてはさらに減額する」(加藤社長)という方針も明らかにした。

 その他、2013年度通期の主なオペレーションデータは以下の通り。パケット収入が前年同期比10%増の2兆827億円、総販売台数が同4.4%減の2251万台、スマホ利用者数が同30%増の2435万契約、LTE契約数が同89.9%増の2197万契約。解約率は、MNP市場の過熱により第4四半期には1.00%まで上昇した。iPhone発売当初は未対応だったため一時伸びが鈍化していたdマーケットの契約数は第4四半期には回復し、769万契約となった。

2014年度は減益予想、月々サポートと音声収入減の影響

 加藤社長は続けて、2014年度の業績予想も説明した。売上高は前年度1288億円増となる4兆5900億円、営業利益は同692億円減の7500億円を目標として掲げた。減益予想について加藤社長は「月々サポートによる影響が1300億円減、音声収入減による影響が800億円減と、トータルで2100億円減を予想する。パケット収入の増でカバーしたいが、現在のところ1400億円の増を予想し、差し引きで弱含みとなった」と説明する。

 ただ純増数やスマホ販売台数の2014年度の目標は強気だ。純増数は同213万増の370万、スマホ販売台数は同152万増となる1530万台を予測する。この点について加藤社長は「確かにチャレンジングな目標だが、直近の4月はかなりよい結果が出てきている。また新料金プランも(その目標を裏付ける)一つの理由だ。他社の対抗の動きも注視しており、迅速に対応していきたい」と目標達成向けて、さらなる値下げやプラン変更も示唆した。

 そのうえで、これまでのキャッシュバックに偏った顧客獲得競争から脱却し、「ネットワークとサービス拡充によって、2014年度は果敢に挑戦していく」(加藤社長)とした(関連記事:ドコモも14年度内にLTE-Advanced、最大225Mビット/秒のキャリアアグリゲーション

説明会資料