写真1●ドコモも2014年度内にLTE-Advancedサービスを導入することを明らかに
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写真2●100Mビット/秒以上のエリアを2014年度末には4万局に広げる目標を示す
写真2●100Mビット/秒以上のエリアを2014年度末には4万局に広げる目標を示す
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 NTTドコモの加藤薫社長は2014年4月25日、同日開催した同社の通期決算において、2014年度内にLTE-Advancedの商用導入を開始することを明らかにした(写真1)。LTE-Advancedの要素技術の一つである「キャリアアグリゲーション(CA)」を用いて、「最大225Mビット/秒のサービスを投入していきたい」(加藤社長)とした。

 キャリアアグリゲーションとは複数の周波数帯を束ねることで高速通信を可能にするLTE-Advancedの要素技術の一つ(関連記事)。ドコモがキャリアアグリゲーションで実現する最大225Mビット/秒のサービスは、2GHz帯と1.7GHz帯、もしくは1.5GHz帯を組み合わせた、合計30MHz幅を使ったシステムで実現するとみられる。実際ドコモは、上記スペックを備えたキャリアアグリゲーション対応の屋内基地局を2013年11月から展開を進めている(関連記事)。

 キャリアアグリゲーションの商用展開については、KDDIが先行して2014年の夏モデルから導入することを発表している(関連記事)。KDDIのキャリアアグリゲーションは、2.1GHz帯を10MHz幅、800MHz帯を10MHz幅を組み合わせた合計20MHz幅のシステムで、受信時最大150Mビット/秒のスペックとなる。

 KDDIのキャリアアグリゲーションについて、加藤社長は「現状、LTE端末で使われている周波数帯(2GHz帯と800MHz帯)を組み合わせて150Mビット/秒サービスを実現するため、既存ユーザーの影響などから実際は速い速度を享受できる人は少ないのではないか」とした。ドコモは同じ最大150Mビット/秒のサービスであれば、キャリアアグリゲーションを使わず1.7GHz帯の連続した20MHz幅の帯域を用いて既に実現している。

 加藤社長は「ドコモの1.7GHz帯を使った最大150Mビット/秒のサービスは、既に使われている帯域ではなく、まったく新しい道路を作って実現した。こちらのほうがKDDIのキャリアアグリゲーションよりも速いスピードが出るのではないか」と対抗意識を示した。そのうえでドコモとしてのキャリアアグリゲーションは、「最大150Mビット/秒ではなく、もっと速い最大225Mビット/秒のサービスをまずは投入していきたい」(同)とした。

 ドコモの最大100Mビット/秒以上の高速化対応エリアは、2013年度末の3500局から2014年度末には4万局に大幅に拡充したいとする(写真2)。KDDIも最大150Mビット/秒のエリアを2014年度末に2万局に広げると宣言している。2014年度は携帯各社の間で、ピーク速度、さらには高速化対応エリアの激しい競争が繰り広げられそうだ。