写真●ガートナーリサーチのデイヴィッド・カプッチオ バイスプレジデント
写真●ガートナーリサーチのデイヴィッド・カプッチオ バイスプレジデント
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 ガートナーリサーチのバイスプレジデントであるデイヴィッド・カプッチオ氏は2014年4月24日、ガートナージャパンが開催する「ITインフラストラクチャ&データセンターサミット2014」に登壇し、「IT部門に混乱をもたらす要因が迫っている」と、力を込めた(写真)。

 カプッチオ氏は、「今後5年間のIT展望と最重要トレンド」と題した基調講演で、IT部門を取り巻く10のトレンドを挙げた。SDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)に代表される、ハードウエアに依存していた領域におけるソフトウエア化。垂直統合型製品の普及やIoT(Internet of Things)の進展、ハードウエアのオープンソース化といった潮流だ。これらの環境変化によって、IT部門は変化を迫られているとする。

 例えば、ネットワークは従来、専門のエンジニアが機器ごとに設定する必要があった。ところが、SDNの登場によってソフトウエアベースで作業が可能になってきている。「高給取りのネットワークエンジニアに関して、その権限委譲が加速するだろう」と、カプッチオ氏は指摘する。

 垂直統合型製品の普及も、IT部門に変化をもたらすという。今まで、サーバーやネットワーク、ストレージといった個々のプロダクトについて目利きが必要だったが、これからは「どのベンダーのサポートが最も信頼できるかが基準になる。プロダクトごとの担当者ではなく、それらを取りまとめる人材が製品を決定するようになるだろう」(カプッチオ氏)。

 そのほかのトレンドとして、スマートフォンやタブレットの広がりによって、業務システムは24時間365日アクセスできる状態にしておくことが当たり前になっている点やIoTの進展によってデータ分析の重要性が高まっている点などを挙げる。

 IT部門に振り向けられる予算は頭打ちの状況にもかかわらず、管理対象となるシステムやIT人材としてのスキルセットが複雑化しており、「多くの企業が難問に直面している」(カプッチオ氏)とし、「こうした変化に対してIT部門は反抗するか、準備を進めるかしかない」と続ける。

 最後にカプッチオ氏は、「最新スキルの習得やIoTへの備えをすぐに始めるべきだ」と話し、「経営層に指摘されてから対策を打つようでは遅すぎる」と強調して講演を締めくくった。