写真●米ヴイエムウェアのネットワーク担当最高技術責任者(CTO)であるマーティン・カサド氏
写真●米ヴイエムウェアのネットワーク担当最高技術責任者(CTO)であるマーティン・カサド氏
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 ヴイエムウェアは2014年4月24日、「VMware NSX」を中心とする同社のネットワーク仮想化ソフトを日本市場で販売するパートナー施策「Elite Initiative」に、国内ベンダーが4社参加したと発表した。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、ネットワンシステムズ、日立製作所、富士通の4社で、各社はネットワーク仮想化を導入するコンサルティングサービスなどを提供する。

 ヴイエムウェアはこれに合わせて東京都内で記者会見を開催。米ヴイエムウェアのネットワーク担当最高技術責任者(CTO)であるマーティン・カサド氏(写真)が、ネットワーク仮想化のトレンドや、VMware NSXの製品戦略などについて語った。

 VMware NSXは、いわゆる「オーバーレイ方式」のネットワーク仮想化を行うためのソフトウエアである。仮想マシンの「ハイパーバイザー」に含まれる「仮想スイッチ」同士がトンネリング通信を行うことで、既存のLANとは論理的に分割された仮想的なLANを構築する仕組みだ。ヴイエムウェアは2014年中に、VMware NSXに関するベンダー認定資格制度をスタートする予定である。

 カサド氏は「ネットワーク仮想化は、アーリーアダプターだけが興味を示す段階を超え、一般のユーザー企業が導入する段階に入った」と語った。日本でVMware NSXを導入しているのは、NTTコミュニケーションズやニフティなど、クラウドサービス事業者に今のところ限られている。しかしカサド氏によれば、「米国では大手投資銀行5行のうち3行が既にVMware NSXを導入したほか、米国農務省(USDA)や米ベストバイ、米スターバックスといった一般企業が導入を始めている」という。

 これらユーザー企業がネットワーク仮想化に期待しているのは、「セキュリティの強化」(カサド氏)だという。例として挙げた一つが、VMware NSXが搭載する「分散ファイアウオール」という機能だ。これは、ハイパーバイザー上で稼働するファイアウオールで、既存のファイアウオール装置を使うのに比べて、アプリケーションに対する通信を細かく制御できるという。カサド氏はその理由について、「ハイパーバイザー上で稼働するファイアウオールは、仮想マシン上でどのようなアプリケーションが稼働しているかを把握している。アプリケーションの状態(コンテキスト)に応じた通信制御が可能になる」と説明している。