登壇したガートナーリサーチ バイスプレジデントの鈴木雅喜氏
登壇したガートナーリサーチ バイスプレジデントの鈴木雅喜氏
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 「ビッグデータの活用に向けて、IT部門は従来型の仕事のやり方だと機会を失う。業務部門と連携し、一歩一歩進めていくべき」――。

 ガートナーリサーチ バイスプレジデントの鈴木雅喜氏は2014年4月24日、ガートナージャパンが都内で開催した「ITインフラストラクチャ&データセンターサミット2014」の基調講演で、ビッグデータに対する考え方や現在の動向、IT部門の体制などについて講演した。

 講演のタイトルは「ビッグデータとインフラで未来をつかむ」。鈴木氏はまず「ビッグデータで成功している企業はほんの一握りだが、だからといって重視しなくていいと思っているなら、考え方を変えるべき」と話し、ビッグデータがどのように未来を変えるのかや、米国の老舗企業の事例などを解説。「デジタル産業革命」と言えるほどの、大きな変化が起こる可能性を示唆した。

 ガートナーが2013年に実施した日本企業を対象とした調査では、6割近くの企業がビッグデータに取り組んでいると答えたという。「ただし、ほとんどが情報収集や検討、試行段階までと見ている」(鈴木氏)。

 取り組みのハードルとして挙がったのは、予算や時間、技術力など。鈴木氏は「課題をこのままにしてはだめで、何をすべきかを考えるべき」と言う。また、「ビッグデータはすぐに成果が出るものではないと考えるべき。どう生かせばよいかはアイデア勝負の面もある。うまくいかなくても、すぐにあきらめてはいけない」(鈴木氏)と、長期的な視点で取り組むべきとした。

 鈴木氏によると、ビッグデータはトレンドとしての成熟期を2013年に迎えた。クラウドなど従来のトレンドからみても、今後は期待度が下がる「幻滅期」へ向かうという。その後、成功事例の積み上げを経て、より広く普及が進むとみられている。鈴木氏は「ここ数年は、より注意しながら冷静に進める時期だ」とした。

 最後に鈴木氏は、今回の講演で一番重要なこととして、IT部門の組織のあり方について述べた。鈴木氏は、「組織の壁を越えてIT部門と業務部門が連携すべき。IT部門は従来の請負型のスタイルから、ビッグデータに向けた機会追求型へと変わらなくてはならない。役割がトレンドと適合しているか確認し、見直す必要がある」と強調した。